暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第2章:埋もれし過去の産物
第35話「狂気に堕ちし緋き雪」
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       =緋雪side=







「(....あ...れ...?わた...し....?)」

  意識がぼやける。私が何をしていたのか、それが分からなくなる。

「(...そうだ...私は....。)」

  寸前までの記憶をなんとか思い出しかける。
  ...その時、何かの光景がよぎった。



  それは、私ではない“私”の記憶。

  忘れていた、忘れる事のできない、悲しい記憶。



「(っ.....!?)」

  夢で見た光景と同じ。

  ...いや、正確には違う光景。だけど、同じ場所の光景だというのが分かった。

   ―――怖い...怖いよ、()()()...。

  その記憶での“私”は、お兄ちゃんに似た“彼”に泣きついていた。

「(確かムートって....。)」

  私の闇の欠片が言っていた....。

  ...場面は移り変わる。

   ―――あは..あはははははは!!もっと!ねぇ!もっと頂戴よ!

「(ひっ....!?)」

  さっきとは打って変わって、私は狂ったように嗤いながら暴れていた。
  “私”と私は同じ視点になってるから、顔とかは分からないはずなのに、私は身震いした。

   ―――....っ、()()()()

   ―――あはは!...あは.....?

  そこへ、“彼”が誰かを引き連れて“私”の所へやってきた。
  そこで“私”も彼に気付く。

   ―――...あはっ♪美味しそうなの見っけ...!

   ―――シュネー!くっ...!オリヴィエ!クラウス!

  しかし、“私”はそのまま“彼”らに襲い掛かる。
  “彼”はそんな“私”を見て、隣にいた二人の男女に声を掛け、戦闘に入った。

「(なに...これ....?)」

  何が起きているのか全く理解できない。..いや、したくない。
  第一、私の今の状況が分からない。

  ...また、場面が移り変わる。



   ―――ひっ....!?....う、うぅ....。

「(ぁ.....。)」

  どこか、街の中で、“私”は周りの視線に怯えていた。

「(...そう、だ。()は....。)」

  ふと、見ている光景と同じ記憶が思い出される。
  ...私の記憶には、こんなのなかったはずなのに。

   ―――うあっ!?

「(やめて...!やめてよ...!)」

  “私”はただ怯えてるだけじゃなく、周りの人達に罵倒され、石を投げられた。
  まるで忌み子のように。化け物を見るかのように。


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