暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜紫紺の剣士〜
アインクラッド編
8.報告会
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ナツ。お前料理スキル上げてたよな?」
「あげてるッスよ。まだまだヒヨッ子ッスけど。どうかしたんスか?」
「実はな・・・」
リヒティがクリスティナに目配せをすると、クリスティナは頷いて、メニューウインドウを操作した。アイテムを1つオブジェクト化して、机の上に置く。それは、どぎつい赤色の果物らしき物が詰まった籠だった。
「これは・・・果物?何味?」
「ふふ」
アンに向かってニコッと笑うと、クリスティナはミーシャを左手でガシッと捕まえた。同時に、右手で謎の果物を摘まむ。
「口開けて、ミーシャ」
「えぇ!?なんで私!?嫌だよ!」
「まぁまぁいいからいいから」
抵抗するミーシャを意に介さず、クリスティナはミーシャの口に果物を押し込んだ。「うわぉ」とシルストが呟く。果物をしばらく咀嚼していたミーシャは、やがて懐疑的な表情で首を傾げた。
「これは・・・マンゴー?オレンジ?いやレモン?」
「あらそんな味だったの」
「食べたことなかったんかい!」
シルストのツッコミを、クリスティナはペロッと舌を出して流した。
「うん、まぁそういうことで。俺が受けたクエスト報酬で貰ったんだ。こいつで何か作ってくれないか?」
「果物ッスか・・・。ならケーキッスかねぇ・・・う〜ん」
「問題でもあるのか」
俺が聞くと、ナツはメニューウインドウを開いた。
「ケーキを作れるぐらいの熟練度には達してるッスけど・・・。材料が足りないんッス、残念ながら」
「何が足りないの?」
「卵ッス」
「卵なら色々見たことない?」
「虫とか爬虫類の卵で作りたくないッスよ」
「・・・それもそうだねー・・・」
アンが唸り声を溢して考え込む。卵、と聞いて、俺は記憶に引っ掛かるものを感じ、メニューを開いた。
確か、21層のフィールドで、鳥の巣らしきものを見つけたのだ。その時は特に何もなかったが、条件次第では見つかるかもしれない。
「ナツ、心当たりがある」
「卵ッスか!?どこッスか!?」
「21層だ。詳しい場所はメモを・・・」
「皆で行こう!」
いつから聞いていたのか。シルストとじゃれあっていた筈のミーシャが勢いよく立ち上がった。2人の世界に浸りかけていたリヒティとクリスティナも話を止めてミーシャを見る。
「君が場所を知ってるんでしょ?なら一緒に行った方が早いよ!2人も帰って来たし、親睦会を兼ねて。ね?」
「いいぜ、行こう!」
トントン拍子に話が決まり、断れる状況ではなくなってしまった。明日は久々に1人になろうと思っていたのだが。
・・・まぁいいか。
断るのは諦め、代わりに、今日頼んだ中で一番高い飲み物をぐいっと煽る。
「あぁ!それあたしが目をつけとったのに・・・」
シルストの抗議は、聞こえなかった振りをした。
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