一
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「今日のお夕はんは、からあげがいい!」
その時刻、辺りは橙色の柔らかい光に包まれていた。
公園で遊んでいた子どもたちは各々愛する家族に手をひかれて帰路に着く。
「もう今日はハンバーグ作っちゃったの。
からあげは今度にしましょ?」
「ぼくハンバーグもすきだからいい!」
公園のどこからも聞こえてくる、他愛のない親子の会話。
おかあさんだいすき、なんて幸せそうな舌足らずな言葉に、燐は地面を見つめた。
さっきまで一緒になって砂場で遊んでいた2人の男の子たちは、燐がはしゃいでぶつかると転んでしまい、全身泥だらけで泣いていた。
「ごめん、」なんて小さな声で謝っても、「燐くんのバカァー」と言って大声で泣くことをやめてはくれなかった。
やがて迎えに来た2人のそれぞれの母親にこてんぱんに叱られた燐は、その場で俯いて立ち尽くしていた。
「なんで俺は迎えに来てもらえないのかな。」
理由は分かっていた。
今朝、家を出るときに言われたから。
「今日は雪男の病院の日だから、父ちゃん付き添わなきゃならないんだ。
燐、公園に遊びに行くなら、迎えには行けねぇから自分で早めに帰って来いよ!
わかったか!」
「わかった!遊んでくる!ゆきおも気をつけていけよ!」
今朝、玄関で交わした会話を燐は頭の中で再生した。
そうだ、今日は雪男が病院に行く日だった。
俺が迎えに来てもらえない理由はちゃんとある。
燐はその場にしゃがみこんで、両膝の間に顔を埋める。
右手で自分の心臓の辺りの服をギュッと掴んで、その上から左手にも力を込めた。
明白な理由があるのに、仕方がない理由があるのに、胸の痛みが治まらない。
ついでに言うと、左の頬もジンジンと痛かった。
「ごめんねって謝ったのに、叩かなかったっていいじゃんか。」
つい先刻、怒り心頭の男の子たちの母親のうち、片方が燐の頬を平手で叩いていた。
赤くなった頬は熱を帯びていて、なんだかすごく痛いと燐は不思議に思う。
雪男や父親と喧嘩してついた傷はこんなに痛いと思うことはないのに、今日は頬がすごく痛い。
そうしているうちに思わずこぼれ落ちそうになった、目にためていた涙を乱暴に拭って燐は勢いよく立ち上がった。
「きゃあ、びっくりした!いきなり立ち上がらないでよ、びっくりするじゃない!」
そこには、つばの広い帽子を深くかぶった、ワンピースを着ている女の子が立っていた。
燐と同じくらいの年齢で、でも顔はよく見えない。
チラリと帽子の影から覗く髪色は、黒ではなく白だった。
夕方の太陽に染められ
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