暁 〜小説投稿サイト〜
ドラゴンクエストX〜紡がれし三つの刻〜正式メンバー版
一の刻・少年期編
第三話「洞窟の中の小さな冒険」
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に呟いた。

「僕が奪った命……」
「ピィ?」
「ううん、何でもないんだ」

宝石を袋の中にしまい込むとリュカは再び歩き出し、そして次々と襲い掛かってくる魔物達。

蝙蝠の様な姿をした「ドラキー」
丸い体に何本ものとげを生やした「とげぼうず」
大きめの体で頭に鋭い角を生やした「いっかくウサギ」
突然足元の地面から攻撃して来る「せみもぐら」

此処まで襲って来た魔物達に共通するのはその瞳が赤く濁っている事、思い返せばピエールを襲っていたスライム達も瞳は赤く濁っていた。
リュカは青く澄んだピエールの瞳を見つめながらはそんな事を考えていた。



奥へと進み、地下に続く階段を下りると岩が崩れている所が見えた。
近づいてみて見ると更に下の階に岩が落ちている様だ。

「危ないな、僕達も気を付けようねピエール」
「ピイ、ピイ」

更に奥へと進み、何度目かの戦闘の際にピーエルが傷を受けてしまった。

「だ、大丈夫、ピエール?」
「ピ…ピィ〜〜」

ピエールはリュカに心配をかけまいと平気そうな振りをするが、それがやせ我慢だと言う事は誰が見ても分かる事であった。

「こんな時、父さんだったら《ホイミ》でピエールを治せるのに……、あれ?」

リュカが《ホイミ》と口にした際、手から何か温かな力を感じ、自分の体の傷が癒えている事に気付いた。
それはパパスにホイミをかけてもらった時と同じ暖かさだった。

「…ひょっとして……、ホイミ」
「ピ?…ピィ〜〜〜♪」

ピエールに手をかざしてホイミと唱えると、リュカの手から光が零れてその光はピエールの体の傷を癒して行く。

「ホ、ホイミだ!ピエール、僕にもホイミが出来たよ!」
「ピイ、ピィーー♪」

カサリ

そうやって喜んでいると、後ろの方から物音が聞こえて来た。
神経が過敏になっているリュカはすぐに振り返り、銅の剣を構えながら叫んだ。

「ま、魔物!? かかって来るならかかって来ーいっ!!」
「ピキーーィッ!!」

振り向いた先には一匹のスライムが居り、怯えながら叫んで来た。

「まっ、待ってよ!虐めないでよ、僕は悪いスライムじゃないよーー!!」
「ス、スライムがしゃべった?」
「ピイ?」


=冒険の書に記録します=


《次回予告》

薬師のおじさんを探して洞窟の中を冒険していると突然現れたしゃべるスライム。
でも目はピエールと同じで青く澄んでいる、悪いスライムじゃないね。
一人ぼっちなんて寂しいよ、友達になろう!

次回・第四話「二人目の友達、スラリン」

「友達、嬉しいな」



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