暁 〜小説投稿サイト〜
大海原の魔女
九話 恐れず、止まらず、妥協せず!
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1940年4月28日
 

「あっ, あの、 午後から一緒に 街へ出かけない?」
「うん?」 日曜日の昼食時、ビスマルクたちに誘われた。

 着任から二週間が経ち、多くの少女とは対等(タメ)に話すようになっていた。



「今 街ではフリーマーケットをやっています。運が良ければ 掘り出し物が見つかるかもしれないですよ。」
 シャルンホルストがそう言うと、ビスマルクが続けて言う。
  「それに,貴女がここに来てから、皆の訓練か,よくわからない研究をしている所しか見ていないわ。案内してあげるから たまには外へ繰り出しましょう!」
「…まあ,今行っている研究もだいぶ進んだから、久しぶりに出かけるとしますか。」
  時間がないとはいえ、さすがに日曜は半日休みにしている。こうしないと、疲れも不満も溜まるからな。



「じゃあ、早く食べましょう。」
「・・・しかし,今日の昼食も Erbsen eintopf(エンドウ豆入りアイントプフ)か。エンドウ豆以外余っていないとはいえ、流石に三食豆が出ると飽きるな。」 そう言いながら,豆とブイヨンの香りがするスープを飲む。

 カールスラントの昼食はけっこうボリュームがあり、味は悪くないがこうも豆だらけだとキツイ。 一方朝食と夕食は軽めで、比較的量が多いとされる軍隊でも パン,簡単なおかず(冷たいものが多い),飲み物だけで成り立っているが、どちらでもエンドウ豆が出てくるのだからたまらない。 そのうえパンはライ麦の割合が高まり、飲み物も代用品に変わりつつある。
  ……まだ戦争が始まって一年も経っていないのだが、優遇されているはずのウィッチですらこんな食事とは…


「でも、もうすぐ次の支援物資が来るそうですよ。今度は扶桑からで、それが来れば豆料理から解放されると思います。」
 シャルンホルストはそう語るが… 支援物資が豆ばかりとかはないよな?


 ◇◇◇◇◇◇◇


 昼食を食べ終えてやって来たフリーマーケットは、戦時中だとは思えないほど活気に溢れていた。


「そこの兵隊さん、プロイセン名産の琥珀はいかがですか〜!奥さんや娘さんへのプレゼントにぴったりですよ〜!」
「そのモーゼルワインをタバコ1ダースと交換しないか?」「バカ言え。」
「今なら国民ラジオが安い!お買い得だよ!」
 どうやら西へと疎開する人や,出征する兵士が余分な荷物を売ったりしているようだ。


「わぁ、にぎやかじゃない!」「 ハラショー。」
「ご一緒させてもらってすみません。」「いいのよ、それくらい。」
 私,ビスマルク,シャルンホルストにオラーシャから来た四人姉妹を加えて、歩きまわっている。
 

「気をつけなさい。スリもいるし、偽物も売られているわ
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