暁 〜小説投稿サイト〜
「裏切り者は、」
裏切り者は、
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[1] 最後

本屋に寄った。
客先が指定する時間には
まだ少しだけ
早かったから。

俺は
カッコ付け野郎だから
いつもはエロ本なんか
立ち読みしない。

ただ、おトイレ借りようと
その、成人雑誌コーナーを
通り過ぎた時、
目が釘付けになった。

「◯ゾ嫁」

って
書いて有った気がする。

「マ◯嫁??」

…一瞬にして
脳内は占拠された。

トイレで掛け算の2の段
そして3の段を唱える。

目標以外の、
あらぬ方向に飛ばさぬ為。

意味が解らないなら
それでいい。

トイレから出て、
辺りを見渡す。

俺の今からの
心に秘めた作戦を、
阻む奴はいないか?

少し
離れた場所には
サラリーマン。

…奴は大丈夫だ。

遠いレジにはおばさん。

その他、疎らな人影は
ジャガイモと大差無い。



…イケる。

その時、ガラス越しに
外を確認しなかったのが
悔やまれる。



堂々と男らしく、
狙いの本を手に取る。


おおー!!!!
なんと!!!!!!!!!
マジすかー!!!!!!!!!





「猫のおじちゃん!!!!」

ひーー!!!!

「あ、おぱいの本??
おぱいの本、
見てるのー??」


「しーっ!!
あ、と、ともくん、
こ、こんちには、
ちょ、意味わかんないな
だ、誰と来たの?」

「ママー。」

「そ、そうか、いいかい、
ともくん、まずね、」

さっと本を戻すつもりが、
なんか裏表紙がめくれて、
上手く戻らん、、、、、

くそ、
しゃがみこんで
チビの目線で、、、、、
小声で、、親近感、、

「いいかい、ともくん、
おじちゃんはね、
おぱいの本なんか
み、見てない。
言ってごらん?」

「?おぱいの本なんかー、
見てない。」
↑小声。

「いい子だ。
アイス食べるか?」


その瞬間、
小さな少年は走り出す、


(…え?)))))))


「ママー!!!!
猫のおじちゃんは
おぱいの本なんか
見てないよー!
アイスー!!
買ってくれるってー!」


少年の声が
静かな書店に響き渡る。


時と空間は歪み、歪む、
ムンクの叫び、
…幻惑、眩惑…。



しっかりしろ俺!

すまん、少年よっ、
アイスは次回だっ。
早急に立ち去らねばっ。
君のママに今、会うことは
出来ないっ。


先輩、貴方の息子さんに
俺は今、裏切られた。
男の約束ってやつを
貴方、教えてませんね?



外に出たら、雨だった。
まるで俺の、
まるで俺の、、、、


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