INNOCENT's World : Side of her
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昼の暖かな日が差し込む、賑やかな高校の広々とした学食。そこには多くの高校生が行き交い、昼休みなので昼食を食べようという活気に満ち溢れている。そのテーブルのうちの一つに、少女と少年が向かい合って座っていた。……正確には、少女の方は打ちひしがれたようにテーブルに突っ伏していたが。どんよりとした暗いオーラが見えそうなほどの落ち込み具合に、少年はたじろぎながらもとりあえず声をかけた。
「……ど……どした、紗那……そんなグッタリして……」
「……新人に負けたぁ……」
「……あぁ?」
半分涙声で小野寺 紗那が呟いたことに少年、日向 疾風は弁当を食べながら首を傾げた。その後どうにか話を聞き出したところによれば、こういうことらしい。
この世界では、“ブレイブデュエル”と呼ばれるゲームが流行している。これは基本的には武器や魔法、飛行アリの凄まじく自由度の高い格闘ゲームのようなものなのだが、ブレイブデュエルの画期的なところはそれがバーチャルでできるということだ。シミュレーターという専用ポッドに入りアバターカードを用いることで自身の意識をバーチャル空間内に構成されるアバターへと送り込み、魔法使いのようなコスチュームへ変身して他のプレイヤーと、魔法の力を備えたカードで組んだデッキを用い、自身の力で戦うことができる。
そして紗那はそのゲームのプレイヤー(“デュエリスト”と呼ばれている)であり、そこそこの勝率を誇っていたのだが……どうやら昨日、マッチングしたデュエリストと戦ってボロ負けしたらしい。その話を聞いて、疾風は相手がどんなデュエリストだったのか気になって続きを促した。ちなみに疾風自身もデュエリストである。
「へぇ、お前がやられるなんて相当だな。どんな奴だったんだ?」
「……なんか、不気味なくらい適応力の高いデュエリストだった。成長が速い、って言えばいいのかな。デュエル中に素人そのものだった動きがどんどん滑らかになって……」
「うんうん」
「……回避動作の滑らかさもそうだけど、何が驚いたって私の投げた苦無全部斬っちゃうんだもん……疾風以外初めてだよそんなことされたの……」
「……わぉ。そりゃハンパねぇな」
と、疾風が驚くのも無理はない。そもそも大多数のデュエリストは、同じ状況に立たされた場合迎撃ではなくダメージを食らう確率が低い回避という選択肢を取るだろう。ひとつならともかく複数、しかも場合によっては誘導性すら備えた弾をあえて斬ろうというデュエリストは、至近距離で迎撃した場合それによる爆風でダメージを食らうってしまうことも多いためほぼ皆無。野球のボールをバットで打つのとは訳が違うのだ。
「……で、焦って勝負決めようとしたせいで魔力
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