暁 〜小説投稿サイト〜
炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師
”狩人”フリアグネ編
八章 「動乱の果て」
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 ―――別にシャナはどこも変わってないよな?
 グラウンドのトラックを走りながら俺は考えていた。シャナにとって、そして自分にとっても二日目になる学校だが、前日と同様に教師殺戮ショーに様変わりしている事は言うまでもない。
 他力本願で非常に申し訳ないのだが、シャナに配慮させるより周りが慣れる方が数段難度が低い。
 一見、昨日と変わりのない平和な日常―――非常に物騒な話ではある、に見えるが俺には少し気掛かりな事があった。

 ――それは今朝の事である。
 俺の起床時間は一般的な高校生より早い……らしい。周りの事なんてよく知らないし、ここ数年は正義の味方の真似事をしていたから、世間一般の考えとはズレてるって自分でも認めてる。
 昨日の朝に投影しておいた木刀で、鍛錬をするつもりだったんだが、紅世の徒の襲撃は明方も警戒する必要がある。
 昨日の戦闘で、感覚に少なからず誤差が出ているのは確認しているが、補正する余裕は無かった。投影には時間がかかるから、おちおち鍛練なんてしていたら初動が遅れるしな。
 仕方がないから、昨晩投影した夫婦剣を手に持って俺はベランダから周囲を警戒する事にしていた。
 端から見たら、危ない物を振り回そうとしてる危険人物だったけど、ベランダ側の外壁で外には夫婦剣は見えてないし問題はないだろう。
 そんな感じで警戒をしていた訳だが、結局、敵からの襲撃はなかった。なんだかんだで登校時間も近くなってたし、シャナを起こしたんたが、その時に事件は起きた。
「おい、そろそろ学校に行く時間だぞシャナ」
 別に何も言わなかったし、言う気もなかったけど、一応ここで寝ている御仁は俺を守るべく俺の部屋にいる。明け方が危険だ――、と言ったのも彼女だ。
 それがなんで、俺が彼女の寝込みを襲われない様に警戒する羽目になっているかは、敢えて聞くまい。
 勢い良く布団を跳ね上げて、半身を起こすシャナ。寝ぼけた顔でこちらを見てくる。

 イカチャ………、いやシャナチャンカワイイデス。

 寝ぼけ顔のシャナはとても可愛らしかった。
 ぶかぶかのジャージを首元から埋もれる様に着て、長い髪を一つに纏めた姿は見掛けの年齢通りに見える。
 もう一度言うが、とても可愛らしかった。

 ―――勘違いしないで欲しいが、別に俺はそういう趣味じゃない。

 ただ一瞬、シャナをお持ち帰りしたい、って思っただけなんだからな。
 曲がりなりにも、俺の家な訳で作戦は図らずも成功しているが。間借りだけに。
 そのシャナ(寝ぼけ顔ver.)が眠たげな声で答えてきた時だ。
「………ん。何よ〜、言われなくても分かってるわ……って!?」
 俺の体を見るなり、驚愕で目を開くシャナ。ついでに再び布団に潜り込んだのもシャナ。
 ――なんだよ、俺の体のどこかが変なのか
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