第1章 光をもとめて
第4話 明日がなかった盗賊団
[1/20]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ランスとユーリは、洞窟内を進んで行く。
そこは先日倒した盗賊団のアジトとは違い、洞窟内には至るところに燭台が立っており、火も灯っている。洞窟内とは思えないほど明りが充実しており、実に進みやすい。
「成程、アジトだけ見れば良く解る。随分と前回とは違うな。ちゃんとした盗賊団のようだ」
「ふん。全部盗品だろうが」
「……だろうな。ちゃんとした盗賊団ってのも妙な話だが」
ランスも同意だったようだ。
……ユーリは苦笑いする。もう完全にのランスの性質を理解しつつあった。そして、更に数分後。分かれ道に突き当たった。左右に分かれている通路。ユーリは目を瞑り……奥を探るように集中させた。
「……左。だな。人の気配がするのは。それに空気も若干違う」
「なら左だ。ごくろう」
ユーリの言葉を受けて左へと進むランス。
人間の心理では迷えば左を選ぶ確立は高いが、今回は人の気配も濃いから更に間違いないだろう。そして更に進んでいき、行き着いた先は岩で出来た階段があり、その傍には白髪の盗賊が居座っていた。位置的には隠れられる場所もなく筒抜けの為当然見つかってしまう。
「なんだ? てめえらは。ああ、そうか。入り口のヤツに入れてもらった新しい仲間か?」
「ああ、まあそんなトコだ。ボスは奥か? 一応今日中には挨拶しときたいんだが」
「へへへ、ま、当然の筋だな。オレはムララだ。このかぎりない明日戦闘団のエース格。次期ボス候補ともっぱら噂の男だ!オレにも挨拶をしていった方が今後のお前たちの為になるぞ!」
斧を肩に担ぎながら、豪快に笑う男。
正直……、どれだけ贔屓目に見たとしても強くは見えない。ただ図体だけだ。でかいだけの男、そんな印象だ。なのに、豪快な上自信満々な態度だ。
同じく自信満々なランス。同属か……と思ったが、ランスは自分以外の自身満々な態度の男には苛立つようで。
「おい! いい加減さっさと奥へと案内しろ!」
「へへっ!確かにこの奥にボスはいるが、案内してほしけりゃ、オレ様に200GOLD払ってきな。次期ボスになる男に取り入っておいても損はねぇぜ?」
「むか……むかぁぁ!!!」
「はぁ……」
この後のシーンが目に浮かぶようだ。
ユーリ自身も確かにあの男には少なからずムカついていた男だったから、代わりにランスが殺してくれたと判断していた。
そして、ユーリが考えていた通り、次の瞬間には自称次期ボスの男は血を噴出しながら絶命した。それはそれは呆気なく、たったの一撃でムララは死んだのだ。ランスはまだまだ怒りが収まらない様子で、ムララの死体を蹴りまくっている。その間にユーリは少し先へと進んだ。奥にある階段を見ていたのだ。
「ふん! なんだ? この歯ごたえの無さは。こんなんが次期ボスだと?
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ