解放
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ベッドで眠らない理由は単純。
このバカげた繰り返しの毎日を否定する為だ。
朝起きて、好きな時に食べて、自由に外の様子を映像で眺めて、夜には必ずベゼドラに抱かれる。
考えようによっては贅沢で楽な暮らしかも知れないが、生憎囚われの身分を満喫する図太さも、将来を悲観して自分の殻に閉じ籠る繊細さも持ち合わせてない。
力は使えない、鎖も外せない。蹴り上げようがぶっ叩こうが罵ろうが、ヤツはちっとも動じない。
だから現状で可能な抵抗と言えば、食べ物拒否だの寝床拒否だの……その程度しか無かった。
食事拒否は妨害されてしまったが、こうなれば意地でもベッドだけは使うもんか。
とは言え、いい加減背中も腰も辛くなって来た。殆ど一日中床に座ってるか寝転んでれば当然だけど。
「っつ……ぁあーもう、気持ち悪ぃ」
上半身を捩り起こせば、ベゼドラが残していった体液が内腿を伝い床に零れ落ちた。
行為そのものもそうだが、内側から溢れるこの感触は本当に気持ち悪い。
ベゼドラはクロスツェルの望みだからとか、クロスツェルが愛してるからだとか言うが……こんな事が本当にあの莫迦の欲求なのか？
だとしたら、とんだ変態野郎だな。変態の中の変態。変態キングと名付けてやる。
変態キング神父・クロスツェルだ。
バーカバーカ。
「…………はは……アホか。私は……」
……笑いながら泣くって、他人事としては何回か見て器用だなぁと思ってたけど、結構簡単にできるらしい。
「くっだらねー……」
気持ち悪さを我慢して立ち上がり、手洗いの水を使って頭と体を洗う。首輪と鎖が邪魔。
浮浪時は川とか雨で充分だと思ってたが、今は切実に風呂に入りたい。
ウェーリに教えられて何度か入ろうとしたけど、熱い水が苦手でゆっくり浸かれなかったんだよな。今思えば勿体無い。
テーブルの隅に畳んで置かれたタオルでガシガシと髪を拭きながら、いつの間にか新しい物に変えられていた食べ物を適当に口に放り込む。
……果物とか野菜は切るだけにしても、スープとパンはクロスツェルが毎日作ってた筈だよな……。準備してる所は見てないが、まさかこれ、ベゼドラが作ってるのか？ 毎朝？
「……なんだかなぁ」
自分に関する事と礼拝堂での事を除けば、クロスツェルの行動はそのままだ。信徒もすっかり騙されてる。騙す目的で演じてるにしても、手慣れてる。体が覚えてるってやつか？
こういう、どうでもいい小さな点に気付くと、クロスツェルの狂言なら良いのにと思わなくもない。
……いや、それも嫌だなやっぱり。
変態キングがランクアップしたら次はなんて呼べば良いんだよ。
そしてそれは本当にどうでもいい。
パイプベッドの横に移動して、あくまでも床に座る。タオルを頭に掛けたまま膝を抱えて、そ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除