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幻影想夜
第十二夜「前奏曲」
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理由が見当たらないし、偶然って言うか、私に才能が無かったってことよね?って、なんかムカツクけど…

―そうよ!今に始まったことじゃないわ!―

 もう自分で鼓舞するしかないわよ!
「じゃあ、土曜の夜7時に待ち合わせで良いわね?また私がお弁当作ってくから、夕ご飯はそこでたべましょ?」
 いつものこと。春のお花見だってそうだったしね。
「ラッキーッ!翠の作った弁当って、ほんと旨いんだよなぁ…!」
 大声だすなっ!変に誤解されちゃうでしょうがっ!ただの幼なじみなんだから!!
 私は多少赤くなりながらも、浩司を制したのだった。


   ♭  ♭  ♭


 ところ変わって、ここは私の家のリビング。
「浩司君ってばさぁ、翠のこと好きだと思うんだよねぇ?」
 こんな寝惚けたことをいってるのは、姉の紫苑だ。
 うちは三人兄姉で、一番上は兄の青爛。みんな色が入ってるんだよね。それにしたって、なぜ私だけ“翠”の一文字だったんだろう?いつも考えてはみるけど、途中でどうでもよくなっちゃうんだよねぇ。B型だからかなぁ?
「何言ってんのよ!そんな訳ないじゃない。浩司はずっとお隣さんよ?幼なじみってだけの慣れよ。」
 それでも紫苑姉は…
「いいや、絶対翠んこと好きだって。だって彼、昔から翠のことばっかりしか見てない気がするよ?顔もいい、成績優秀、スポーツ万能。これだけ揃って彼女のいた形跡なしなんて、どうやったって可笑しいじゃない?もし、もしもよ?浩司君に告白されたら、翠はどうする気?」
 って…言われてもなぁ…。いまひとつピンッとこないしね。
「う〜ん、分かんないなぁ…。もちろん嫌いって訳じゃないけど、でも何かずっと一緒にいたから、兄妹って感じなんだよねぇ…。」
 そんな私に、紫苑姉はいかにも不服と言わんばかりの顔をして言った。「分からなくはないけどさぁ…。今時、料理くらいじゃ誰も相手にしてくんないよ?浩司君逃したら、だ〜れも嫁に貰ってくんないかもよ?顔よし、成績優秀、スポーツ万能の好物件。こんなの逃したら、後で泣くほど後悔するわよ?」
 なんて言って脅してきた。
「ちょっと紫苑姉、そういう言い方止めてよね?浩司はそういうんじゃないから!」
 ちょっとムキになっちゃったかな?でも紫苑姉はそんな私にニッと笑みを見せて言った。
「じゃ、賭けましょ?翠が告白されなかったら、私は翠に好きなもの一つ買ったげる。でも、告白されて付き合うことになったら…」
 何?私はどうするの?紫苑姉の好きなものなんて、高すぎて買えないわよ?当然そうはならないけどね。
「翠の大切なガラス細工コレクションを頂くわっ!」
 何ですって!私がコツコツ貯めたお小遣いで買った、あのコレクションを!?
 でも、女の意地よね?取られる心配もないし。
「いいわ
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