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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
間話
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前じゃ、嘘はつけんし

「……俺にも理由は分かりません。 ですが、自分が小さい頃、誰かに言われた記憶はあります。 お前は成長が早い、と」

「……うーん……嘘は言ってないか……」

参ったな、と苦笑いのバルドル様はもう一度、俺の目を見つめる。
が、フッ、と視線を反らすと話は終わりとばかりにその体をボロいベッドに投げ出した。

「ま、一応はそういうことにしておくさ。 でも、いつかはちゃんとはなしてくれよ?」

「……思い出したら、また話します」

その言葉に、うん、と満足そうに頷いたバルドル様。
一人だけ話についていけずに、え?え? と困惑しているハーチェスさんだったが、落ち着いてくださいという俺の言葉で漸く落ち着いた。

「でもいいなぁ、式は。 魔法も、それにスキルも発現してるし」

「まぁ、それはね。たまたまとしか言いようがありませんが」

先程俺から奪い取った【ステイタス】を見ての言葉だろう。
何も発言していないハーチェスさんからすれば、俺は羨ましいと思う対象なのだ。

「ハーチェス。あんまり落ち込まないでよ。君もまだまだ冒険者になって間もないんだ。希望はあるよ。 それに、魔法もスキルも拝めずに一生を過ごす冒険者なんてざらにいるっていうしね」

「バルドル様、最後のは追い打ちかけてますよ」

「うそっ!?」

ほんとです。その証拠に、ハーチェスさんが部屋の隅でいじけています。

ハーチェスさんの様子を見て、ごめんよー!と駆け寄って謝るバルドル様。
俺はその様子を見たのち、視線を【ステイタス】へと戻した。手元には俺のと、ハーチェスさんもの。

確かに、あの金髪ピアスの神様から聞いている通り、確かに俺の成長に関しては目を見張るものがある。が、あれは俺だけではないのか?
ハーチェスさんの【ステイタス】を見て考える。
もしかして、俺が影響を与えている、とかそういうことなのだろうか。
てか、それくらいしか考えられない。

「……ん?」

いつの間にか、俺の持つ羊皮紙と手の間に、何かが挟まっていた。
ゴミか?と思い、手にとってみると、それは小さい紙だった。
なんとなしに中を見てみる

『その通りだ by god』

なんちゅー伝えかたやボケぇ

未だに立ち直らないハーチェスさんとまだ慰めているバルドル様にバレないように、然り気無く紙を捨てる。
まぁ、日本語と英語だし、見られても読めないだろうが、捨てておくのがいいだろう。ごみ捨ては俺の仕事だしな。

「ハーチェスさん。いつまでもいじけてないで明日の探索について考えましょうよ」

「あ、うん。 そうだね」

「ちょ、僕が慰めていた意味は!?」


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