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恋姫†袁紹♂伝
第14話
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だ。心配はあるまい」

「……」

妙なことを言ってすまなかった。と袁紹は謁見の間を後にした。

「……」

一人残った桂花も険しい表情になる。彼女が袁紹の元で行動した期間はさほど長くは無い。だが袁紹が時折見せる勘働きが、目を見張る物なのは知っていた。
 初日で桂花の男嫌いを見破って見せた袁紹が違和感を感じたのだ。謀反などはありえないが何かあるのかもしれない。

「誰か」

「ここに」

「荊州へ間者を送って街の様子と張勲の周りを探りなさい。」

「御意」


………
……


「はぁ、些細な土産とはよく言ったものですね〜」

荊州へと帰路についていた張勲は、袁紹から持たされた土産の山を見て溜息を漏らす。
 これだけの物があれば、一年は荊州が飢えることはない。それをポンと渡す袁紹の豪快さに感心すらしていた。

「これは多分、政務よりも反袁紹派の対応に集中させるためですね。まぁ何もしないんですけどね〜」

袁紹の期待とは裏腹に、張勲には反袁紹派達に対策を講じるつもりは無い。

(袁家当主でありながら驕った態度は無い。終始私を気にかけていたし、最後に持たせた土産の豪快さ、
 そんな人たらしを純粋なお嬢様に近づけるわけにはいきませんね!)

全ては愛する袁術を独占するために、長年自分の本性を隠し続けてきた張勲の笑顔は、観察眼に優れた袁紹の目を持ってしても見破ることは出来なかった。




………
……




「お嬢様!ただいま帰りました〜」

「おおっ七乃、お帰りなのじゃ、南皮はどうだったかえ?」

「とってみ賑やかで大きな街でしたよ〜、治安も良くていい所でした。」

「むぅ〜、妾も行きたかったのじゃ……」

「でもお嬢様、南皮にはお兄様がおりますよ?」

「ピェッ、そうだったのじゃ」

袁紹の存在にひどく怯える袁術、彼女は物心ついた時から洗脳に近い教育をされていた。

「あ、兄様はまだ怒ってたのかの?」

「それはもう!『政務も出来ぬ上にお漏らしとは何事か!会ったら尻叩き百回だ!!』って激怒してました。」

「痛いのは嫌なのじゃ〜、ガクガクブルブル」

「やーんお嬢様ったら可愛すぎます〜。」

「な、七乃ぉ……」

「大丈夫ですよお嬢様、いざとなったら此処の皆と私がお守りしますから」

「本当かぇ?」

「もちろんですよ、では政務があるので失礼しますね〜」

………
……


「張勲様、本日は四名捕らえました。」

「ご苦労様です。素性はわかりましたか?」

「ハッ、三人は口が堅かったですが、一人口を割らせることに成功しました。どうやら袁紹様お付の軍師、荀ケの手の者のようです。
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