暁 〜小説投稿サイト〜
小学時代を思い出そう!
「爺ちゃん探検隊」

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 保育園の年長から低学年にかけて、僕は爺ちゃんによく散歩に連れて行ってもらった。歩く時もあるし、自転車に乗せてもらってというのもあった。 そうそう爺ちゃんは道を知ってるくせに……

「この先はどうなっているかなあ?」

 と、言っては僕の心をワクワクさせた。当時の僕は、本当に爺ちゃんが知らないと思っていたので、とんでもない興奮があったのだ。

 僕たちは町の探検隊だった!

「ミズキ君。この先をまがると、どうなっているのかなあ?」

「ミズキ君。このまま、行くと道はどうなっているのかなあ?」

 と、爺ちゃんは僕に聞いてきた。(そうそう家族の中で、なぜか爺ちゃんだけ僕を、君づけで呼んでいた)
 思い起こすと、爺ちゃんは僕より楽しんでいるように見えた。僕が……

「もっと、行ってみよう!」

 と、言うとすかさず……

「家に帰れなくなっちゃうかも」

 と、爺ちゃんは答えた。探検隊に危険はつきものだ、僕の中でさらに探求心が湧いていった!!爺ちゃんとは町のあちこちを探検した。

「爺ちゃん!この橋、大丈夫〜?」

 電車が真下を通るボロボロの橋に連れてってくれたり。

「うわああああああ」

 長ーい下り坂では、悲鳴をあげて自転車で降りたりした。

「あっ!クワガタだ」

 細い路地を行った所に、怪しげな虫屋さんを見つけたり。

「この飛行機、本当に飛ぶの?」

 ラジコン屋さんに、2人で飽きる事なく居たりした。

「爺ちゃん、空がオレンジ色だよ〜!」

 探検が終わると、にじむような夕焼けを背に家路に着いた。

◇◇◇

 今はもう、爺ちゃんはこの世にはいない。大人になった今、僕は思う。爺ちゃんは……



 ひとあし先に、あの世へ探検に出かけてしまったのだと。

おしまい

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