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リリなのinボクらの太陽サーガ
肝試し
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「そこの少年、しばし待て」

ある日、ジュエルシードやヴァンパイアを探して出歩いていると、いきなり仮面をつけたいかにも怪しい風貌の男から呼び止められた。世紀末世界出身だからこの世界の流行とかに詳しい訳では無いのだが、はっきり言わせてもらおう。

「見た目からして胡散臭い奴の言う事なんか信じられるか」

「いや……おまえにとって絶対有益な話だぞ? 少しぐらいは話を聞いても」

「興味ない。失せろ」

「ま、待て! せめてこれだけでも聞いてもらいたい!」

仮面の男が強引に話を聞かせようと俺の肩を掴んだ瞬間、何故か仮面の男の姿がノイズが走ったように揺らぎだした。普通、人間の身体にノイズが走るなぞあり得ないため、こいつはただの人間ではないと判断し、いつでも暗黒銃を抜けるように手を忍ばせて警戒する。

「ば、馬鹿な!? 変身魔法の効果が急に衰えただと!? ど、どうして……」

「魔法? おまえ、魔導師か!」

まさかジュエルシードを狙う第三勢力の魔導師が現れたのか。そう推理した俺は即座に右フックを変身魔法が解除されかけて動揺している男の胴体に撃ち込み、ひるんだ所を逃げられないように後ろに回り込みながら関節を曲げて力が入らないようにしてから手を捻り上げ、地面に押さえつける。この国の警察が採用しているらしい体術だが、こうして使ってみると中々拘束力が高い。そのおかげで男の抵抗は全く役に立たず、しばらく押さえつけていると逃げられないと判断したのか、それとも変身魔法の時間切れで諦めたのか、足掻くのを止めていた。

「猫の使い魔……?」

俺の身体に宿る暗黒物質によって変身が解除された男は、本来の姿である年上で尻尾の生えたショートカットの女性に戻っていた。猫だと判断したのは尻尾が猫みたいな毛並だったからだ。

「クッ……まさか初めての接触だけでいきなり捕まるなんて……!」

「正体不明の魔導師相手に容赦する必要は無いのでな。初対面の相手にも正体を隠す程だ、いずれにせよやましい事でもあるのだろう?」

「そっちの件は脅しても話さないからね……!」

「そうか。なら心優しいあいつらが見ていない今の内に、ここで始末した方が良いかもしれないな。おあつらえ向きに棺桶も用意してある」

「か、棺桶ぇ!? なんでそんなものを……」

「イモータルを弱らせた後、一時的に封印しておくためにあらかじめ作っておいたのだ。慣れない日曜大工だったが、まあ臨床試験という事でおまえを先に埋めてみるのもいいかもな」

「ま、待って! 今はあなた達に危害を加えるつもりは無いわ!」

「そうか、“今は”か。なら後に敵対する前に……」

「あっ……!? ちょちょちょちょっと待って、今のナシ! 私にあなた達と敵対する意思は無いわ!」


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