激突
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突然部屋が暗闇に閉ざされる事でサバタを一瞬見失ったプレシア。しかしこの部屋は元々彼女の領域、すなわち部屋のどこに何があるか位置を把握する事は、全盛期より衰えたとはいえ大魔導師には容易い。
「味な真似を……!」
デバイスを展開したプレシアは、サバタの気配が感じられる方向に向けて8発のフォトンランサーを発射する。彼女の魔力光が周囲を僅かに照らし、射線上にいたサバタの姿をあぶりだす。避けるそぶりを見せなかった彼に対し、非殺傷設定を切断している事で魔力弾はそのまま彼の身体を突き抜け、痛々しい大穴を開ける。
「あの威圧感から少しはやると思ったけど……拍子抜けね」
そう呟いたプレシアはふと気づいた。なぜあれだけの穴を開けられて血が出ない? いや……まさか!
その直後、目の前に降り注いだサバタの身体が蜃気楼のように揺らいで爆発した。寸での所で気づいた事でどうにか回避が間に合ったが、懐に入られて爆破攻撃を仕掛けられた事にプレシアの背に冷たい汗が流れる。
―――攻撃されると自爆する幻影魔法だなんて……厄介な!
慎重に行かないと反撃を受けると気づいたプレシアは、改めて部屋の内部を探知するとさっきの幻影と同じ気配がいくつも感じられた。これではどれが本物なのか判別できない。
「クッ、それなら!!」
プレシアが使える広域殲滅魔法サンダーレイジ、そのバリエーションの一つを発動。部屋全体を攻撃する事で本体ごと幻影を殲滅しようと企む。しかしサバタがそれを放置する訳もなく、プレシアの眼前に一つの小さな物体が放物線上に飛来してくる。
ナイトメア。
ダーク属性のグレネードの内部から凄まじいエネルギーを感知したプレシアは詠唱を中断、障壁を展開する。
爆ッ!!
「な、障壁が……ッ!?」
魔力を消滅させるダーク属性の特性を知らなかったプレシアは、強固なはずの障壁を容易く突破してきた爆風に吹き飛ばされるが、空中で態勢を立て直した彼女はお返しと言わんばかりにフォトンバーストでグレネードが飛来してきた場所を爆破させる。
「ぐっ! ……やるな、プレシア!」
攻撃した事で幻影が解除されていたサバタは、もろにその反撃を受けて負傷してしまうが、ダメージの度合いで言えばプレシアの方が格段に上だった。
「あなたもやるわね……でも、同じ手は二度も通じないわよ!」
「だろうな。おまえはこちらの力を解析しながら、次の対策を考えている。長期戦はこちらの不利を招くだけだ」
「へぇ……やはりただのガキじゃないわね」
そうやって不敵に笑うプレシアは内心、自分の魔法の威力が妙に減衰している事に戸惑いを覚えていた。本当なら先ほどのフォトンバースト一発で仕留めるつもりだった。しかし実際は彼に少し大きめのダメー
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