第7話「文句は面と向かって言え」
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双葉の身体から噴き出した青白い光。
それは遥かに巨大な人の姿へと変わっていく。
「あ、ありゃ?」
愕然とする一同。
ボサボサの髪、無駄に渋い顎鬚、そして瞳を覆う漆黒のグラサン。
その姿はまさしく――
「は、長谷川さんんんんんんんん!?」
銀時たちが見上げる先にいるのは、間違いなくマダオこと長谷川泰三だったのだ。
「なんで長谷川さんが?」
驚愕を露にした新八が、いやほぼ全員が口をパカパカ開閉させる。
そんな中で本物の幽霊・レイは冷静に―といっても銀時たちの中で一番落ち着いて見えるだけだが―現状を考察し、一つの答えを出していた。
【まさかあの娘、生霊まで取り込んだ……?】
強烈な霊力が掌中から噴き出し、目の前に巨人を形成していく。
――なぜこの男が!?
この場から逃れようと手を緩めたい。
だが渦巻く強大な力は、お岩の手を押し固め、双葉を手離すことを許さなかった。
それでももがき続けるお岩に、小さな閣下は静かに告げる。
「女将。貴様は己がどれだけ恵まれているかわかっていない。死んだ者には二度と会えない。それがこの世の摂理だ」
淡々とした口調とは逆に、霊力は地響きを上げてさらに強大なものへ増加していく。
「なのに貴様は亡くなった主人と今でも共にしている。そしてスタンド達をこき使っている」
掌中の閣下もまた揺るぎなきチカラを瞳に宿す。
凍りつくような怒涛の眼光を。
「自分がどれだけ強欲で傲慢な日々を送っていたか――」
凍てつくその瞳はまっすぐにお岩を突き刺し、巨人を従えた閣下の叫びが響く。
「思い知れ!」
閃光と轟音。
長谷川の姿をした強力な霊力の塊がお岩に激突した。
* * *
怨念か根強い想いがない限り、生きた人間が『生霊』としてスタンド化することはない。
だがあの男――長谷川にあったのは負の念だ。
長谷川の人生に何があったのか知らない。しかしよっぽど不運に当たってきたのだろう。
長い間蓄積されてきたマイナスエネルギーは、やがてふとしたはずみで生霊化する程になっていた。
数百の幽霊の魂に強力な負の念を加える事で、強烈な霊力を生み出した。
つまり、あの時スタンド化した長谷川を放置したのは、まさしく誤算だったのだ。
全て甘く見ていた自分に嘲笑をかけ、トドメの一撃を待つ。
そして。
お岩に待ち受けていたのは――
* * *
【【【女将は一人じゃないよ】】】
初めて幽霊が見えたのは、母親を病で亡くした時だった。
泣きじゃくる自分を励ますようにスタンドが現れ、いつも傍にいてくれた。
そうしてスタンドといるのが当たり前になった。
やがてスタンドが見えるこ
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