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ボスとジョルノの幻想訪問記
恐怖!紅魔館の悪魔たち そのB
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 そして、その笑い声に呼応するように周囲の炎がドッピオと影の丁度中点に集まり始める。それは人の形を為していき――――人になった。

「――――あ?」

 それは不死鳥、藤原妹紅であった。彼女は復活すると今の出来事を瞬時に理解し『自分たちは攻撃されたのだ』と判断する。
 彼女の額に血管が浮かび上がる。血液が沸沸と沸き上がる。
 妹紅は戦闘を好んでいる節があるが、このような『命を軽んじる行為』には人一倍敏感だった。これは『生命』に対する侮辱だ。我々を侮辱しているのだ、許してはならない、と。
 妹紅の気配が怒りとは裏腹に酷く落ち着いたものになっていく。それを見た永琳は前方の敵は彼女に任せ、今は怪我人の救助を優先すべきだと判断しドッピオに声をかける。
 永琳は先ほどまでの楽観視を忌々しく思った。まさか、紫の差し金がいきなり、こんな危険人物だとは思わなかったから。
 ドッピオはまだ整理がついておらず、永琳の問いかけに生返事をするだけだった。永琳は焦りつつもドッピオを促し、まずは美鈴の救助を始めようとするが。
 私は後でいい、頼むから二人を。という美鈴の必死に永琳の心は揺れる。彼女の言葉に従いまず気を失っている鈴仙とジョルノをそれぞれが背中に担ぎ、二人はその場を離れた。

 二人が奥へと戻っていった後、煙の中から姿を現したのはフランドール・スカーレットだった。妹紅はその姿を確認し臨戦態勢に移る。
 容赦はしない、こいつは殺さなくてはならない、と。
 だが、フランドールは目の前にいる怒りを露わにする猛獣より他のことを気にしていた。彼女はさっきまでここにはあと4人いたはずだと思っていたが何人かがもういない。今フランドールの視界に写るのは妹紅と美鈴だけであり、ジョルノ、鈴仙、ドッピオ、永琳の姿は無かった。
 と、何を思ったのかフランドールは足下を見る。そこには血だまりがあった。フランの視線移動につられて妹紅もそれを認識する。
 いや、妹紅は認識するべきではなかった――。
 血はフランの脇の瓦礫の下から流れ出しており、フランと妹紅は同時に理解する。
 そして無邪気な笑みをギィっと浮かべたのはフランだった。
「♪」
 フランが笑顔でそれを持ち上げるとそこには彼女がいた。妹紅の予想通り、そこには上白沢慧音が横たわっていたが――――。

 ――――両腕が無かった。

*   *   *

 早く血を止めなければ慧音は今すぐにでも死んでしまうだろう。
 そんなことは医学に疎い妹紅でもすぐに判断できた。
 フランドールの攻撃を正面から直撃した彼女はとっさに両腕でガードをしたようだった。でなければ両腕が肘先から消失するなんて考えられない。
 つまり、フランドールは本気で殺しに来たと言っていい。
「き、貴様ぁああああああああああッ
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