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俺の名はシャルル・フェニックス
雷光と不死鳥
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な。


でも、まぁ、今くらいは休んでもいいかねぇ。

ちょっと休憩してから、また頑張ろうかね。

俺は目を閉じてこの暖かさに身を委ね思考に耽る。


何故俺は調子が悪くなったのか。

朱璃さんを救えなかったから?

それははっきり違うと言える。

助けたかった。

親が居なくなる辛さは2度も味わってるから。


木場やアーシアだって助けたいとは思った。

けれど、助けはしねぇ。

天使の領域に入りたくないし、入ったら厄介なことになってしまうから。

その厄介事のせいで4人に危害を加えてしまうかもしれないから。

だから、救わねぇ。
酷いことだとは思うが、俺に出来る範囲は限られてる。

黒歌や朱乃の件でも危ない橋を渡ったのだ。

これ以上は無理だ。

そう俺は割り切ってる。

なら、初めて人を殺したから?

それも違う。

赤の他人を殺したくらいで罪悪感を感じていいほど『最強』の名は甘くない。

目指したその時から人を殺すことになるのはわかりきっていた。

それに人殺しならもう、一度している。

この世界に生まれたその時に。

実の母親で……


だから、違う。

なら、使い魔達が死んだから?

それもある。

けれどちげぇ、ちげぇんだ。

俺はそんなまともな理由で調子が悪くなってるわけじゃねぇ。


俺は身勝手で浅ましく愚かしい悪魔なのだから。




なら、何故……?

嗚呼、分かった……

分かってしまった……

「……初めて負けたんだ」
つい、口から漏れてしまった。

今日初めて俺は戦わずに負けを認めた。

俺よりつえぇ奴なんて幾らでもいる。

だって精々今の俺の実力は中級悪魔上位程度しかないのだから。

分かってるつもりだった。

けれど、何処かで思ってたんだ。

やりようによっては勝てる。

100回戦えば1回は勝てるって。

でも、バラキエルはそうじゃねぇ。

1000回やろうが、10000回やろうが勝てねぇ。

そう思ったんだ。

朱乃に会いたくねぇのは自分のことで手一杯で今は会いたくねぇから。




何処かで俺は傲って天狗になってたんだ。

俺はつえぇってな。

今分かった。

だから――


「俺、俺、強く、なるぜ。
約束なんだ。
たった1つの母さんとの。
だから、だから」







――俺を見捨てないでくれ。



そこで俺は温もりに包まれて凍えるように意識を失った。



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