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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
第十八話 Road to Elysion〈前哨〉

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「翔子、俺たちが最後の試合で顔を付き合わせるだなんてな。」
「………雄二の考えていることは分かっているつもりだから。こうなるのはむしろ必然たること。」
召喚フィールドの両端に立っている彼らを、両クラスの観戦者たちは息を飲んで見守っていた。
一騎打ち第三試合、小学校範囲までの日本史、そして100点満点という得点制限まで掛かっている対戦であるから得点差など皆無、しかも両クラスの代表により競われる最終試合。
Aが勝っても、Fが勝っても得られる物は同じ物が得られることになっていた。
それは「代表の要求を一つ飲ませる」というものだ。

「雄二の要求って何だろうね。」
「ウチたちに聞くよりもアキか千早の方が知ってるんじゃないの?」
「僕にはさっぱり心当たりがないんだけど……妃宮さんはどう?」
Fクラスの観戦コーナーの一角、Aクラスの中央に作られているフィールドを眺めていた。
妃宮と呼ばれた白銀の髪の少女は少し考えるそぶりを見せ、そして意を決めたように口を開いた。
「……(わたくし)は、代表にお約束いただいたのです。代表が何を考え、どうしてきたのかを教えて貰うと。そしてその約束の履行がこのような形になったのは決して偶然ではないと思うのです。」
彼女の言葉のあまりにも抽象的すぎる表現に、男女は首を傾げる。
ただ一人だけ、ウェーブの掛かった髪を持つ少女は何かを理解したかのように頷く。
「これより第五試合を開始します、両者準備をしなさい。」
召喚(サモン)!」
「…召喚(サモン)
学年主任である高橋の号令の下、二人はそれぞれの召喚獣を呼び出す。
『日本史 Fクラス 坂本雄二 95点 VS Aクラス 霧島翔子 95点』
会場であるAクラスにどよめきが広がる。二人とも全く同じ点数を繰り出してきたのだ。
「代表、どうなさるおつもりなのですか?」
小さくつぶやいた白銀の髪の少女の声は、周りのざわめきによって掻き消される。
彼女はいつもの仮面を外し、その顔は祈りにも似た様相をしていたのを彼女は、いや彼自身さえ真意を知る者はない。

そう、我らは皆、神ならざる身なれば

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