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バカとテストと白銀(ぎん)の姫君
騒がしい春の協奏曲(四月)
第一章 小問集合(order a la carte)
第8,5話 吉井は何故世界史が取れるようになったのか。
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妃宮さんの家におじゃました日の晩から、今朝までゲームを徹夜でやってしまい、お陰ですっかり寝不足がちな僕は卓袱台に突っ伏していた。
「吉井君、少しよろしいでしょうか。」
誰かに呼びかけられ、薄く目を開けてみるとそこには我がクラスの天使さ……いやいや妃宮さんがいた。
「その……私のことをそのように思うのは止めて頂けませんか?」
なに!?
「僕はまだ何も…」
「きっちり天使って声に出していらっしゃったじゃないですか。そもそも私はそのように呼ばれるなど恐れ多いというのに。」
何をいっているのか、ほとんど働いていない僕の頭では理解できないが取りあえずそんな風に思わないでくれという事なのだろう。
「うん……分かったよ清純派お妃様……」
「……」
何だろう、少し妃宮さんの様子が少しおかしい気がする。
僕は何か気に障るようなことを言ってしまっただろうか。
「こほん、吉井君。あなたは姫路さんに転校の話しが持ちかけられているかもしれない、と言われましたらいかがなさいますか?」
「えぇ、何だって!!!」
それまで寝ぼけ半分だった脳味噌が一気に覚醒した。
姫路さんが転校ってどう言うことだよ。
急に叫んだ僕に対して周囲から冷たい目線が浴びせられるが、そんなことは今は二の次だ。
妃宮さんに詰め寄ると、彼女は口の前に指を立て声が大きいですよと小さな声で注意される。
「その話、本当?」
「ですからまだ仮定の話です。しかしそうなる可能性は十分に考えられます。」
いたって冷静な妃宮さんの言葉に冷や水をぶっかけられたような気分になる、そしてだんだんと騙してくれたことに腹が立ってくる。
どうしてそんなことを考えるんだよ、まだ分からないって言うのに。
そんな僕に彼女はその端正な顔を近づけて耳元でこう囁いた。
「ですが…姫路さんの体は平均よりも弱く、このような衛生的にも、周りの人間の環境も悪い教室で勉強することを余儀なくされているというのをご両親がお知りになったらどう考えるでしょうか。」
その声に思わずぞくりとしてしまった。
いつものソプラノな声なのに、僕の心にぐっさりと刺さるような強さがあった。
思わず小声でしゃべえる妃宮さんにあわせて僕は問い返した。
「どうって、どう考えると妃宮さんは思うの?」
「結果至上主義の行き過ぎているこの学校は、生徒の体調にさえ気を配らない。体の弱い瑞希の為にも転校先の高校を考えるべきだ、と。」
体の弱い瑞希、その言葉に教室に舞っている埃とせき込んでいる姫路さんが思い浮かんだ。
「親とは子供にとって最高の状況を提供したいと思うものだとすれば、恐らく姫路さんは……」
とてつもなく硬い声で彼女はそう続けた。
そこまで言われて僕はようやく気が付いた、妃宮さんも姫路さんのことを考えてくれていたんだ……
姫路さんのた
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