暁 〜小説投稿サイト〜
アーチャー”が”憑依
九話
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「エミヤー!! これは一体なんなんだあああああ!!」

剣のせいで姿の見えないあの男だ。



「ようするに、だ。魂と肉体の齟齬は魔法だけじゃなく魔術にも影響していたと?」

「そうなる。これを見てくれ」

そういって、エミヤの両手に現れた陰陽の夫婦剣を受け取る。

(むぅ……相変わらず良い剣だな。チャチャゼロが固執していたのも分からんでもない)

あいつと違って刃物フェチなんてものでは無いはずなんだが、と思いつつも双剣についつい見入ってしまう。だが、そんな所に奴は爆弾を投下した。

「私が愛用した剣、干将・莫耶。私が最も投影しなれた剣だが、それでも、それは私がエミヤであったころの8〜9割程度の出来だ」

「な、に?」

コイツは今何と言った? かつての8〜9割だと? そんなはずがあるのか? この剣の性能は知っている。何度か障壁ごと四肢を斬り飛ばされたことだってあるのだ。それで全開ではないなど、どうして信じられよう。

「元々無いはずの物が使えているんだ。ここまで影響が無いのが奇跡といったところか」

「そう、だな」

魔術は魔法なんかよりも制御が難しい。暴走も魔法と魔術では危険度が全く違う。だというのにその程度で済んだとなれば、なるほど、奴の言うとおり奇跡と言えるかもしれん。

「それで、影響はどれほどだ?」

「刀剣は8割、それ以外の武具が7割。盾は下手すれば6割を切るやもしれん」

話だけ聞くと深刻そうに見えるが、本人はさしたる問題ではないと言った感じで飄々としている。事実、本人は魔術を戦闘で使用するつもりは無いと言っていたし、それが良いということも分かっている。だが、魔術が強力であることには変わりない。

「固有結界はどうなんだ?」

「……展開はできるだろう。だが、どれほど負荷がかかるかは分からん」

投影が使えることから使用できるだろうことは想像に難くない。問題は世界からの修正力だ。魔術とは成り立ちが違うこの世界を塗り替えたその時、何が起こるかは全く予想がつかない。

「まぁ、使うつもりはないさ」

そのためにこうして君の元で修行している、そうしめくくるエミヤに私はひそかに決心する。この男を魔術が必要無い程に鍛え上げて見せる、と。

「よし、エミヤ早速始めるぞ!」

「どうした? 今日は何時に無くやる気だな」

「うるさい! 今日は新しい魔法を教える。よく聞いてろ、この魔法は……」

この男にいなくなって欲しく無い。かつて、ある男に抱いたものと同じものを今再び感じている。それが、あの男の時と同じなのかはまだ分からんが、どうでもいいことだ。コイツがいる。今はそれが重要なのだから。
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