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銀河親爺伝説
第八話 作戦会議
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帝国暦 486年 10月 6日   イゼルローン要塞 要塞司令官室 ラインハルト・フォン・ミューゼル



これで六回目だ。九月二十日に遠征軍がイゼルローン要塞に到着してから昨日までに最高作戦会議は五回行われた。そして今日、要塞司令官室で六回目の最高作戦会議が始まる。もういい加減会議は飽きた。俺に自由裁量権を与えて欲しいものだ。そうすれば……。

部屋に入って席に着いた時、周囲を見渡して嫌な予感がした。ミュッケンベルガー元帥を議長として中将以上の階級にある提督達、そして何人かの貴族が参集したが提督達も貴族だった。その中には先日中将に昇進したフレーゲル男爵もいる。爵位を持っていないのは俺と爺さんだけだった。

五度目までは作戦会議は形式的な物で終わった。六度目の作戦会議も形式的な物で終わるだろう。実際に会議はダラダラとなんの意味もなく続いた。爺さんは詰まらなさそうな表情をしている。唯一反応したのは索敵情報に惑星レグニツァ方面で反乱軍が徘徊していると言う報告が有った時だけだ。もっともそれもかなりあやふやな情報で信憑性は全く高くない。

相変わらずフレーゲル男爵がネチネチと絡んでくる。嫌な奴だ。適当に流そうとしていたが、フレーゲル男爵に便乗して絡む阿呆が居る。ミュッケンベルガーも止めようとはしない。司令長官公認の嫌がらせというわけだ。徐々に我慢出来なくなってきた。心がささくれだってくる。

「年末にはローエングラム伯爵を名乗られる御身、我ら如き卑位卑官の輩は、うかつに口をきいてもいただけぬであろうからな」
フレーゲル男爵が冷笑交じりに絡んできた。馬鹿か? フレーゲル、貴様一体年は幾つだ? なりはでかいが精神年齢は幼稚園児並みだな。

「卑位卑官などとおっしゃるが、卿は男爵号をお持ちの身。自らを平民と同一視なさるには及ぶまい」
此処にも馬鹿が居た、爵位しか誇る物のない阿呆が! お前達と同一視などこちらからお断りだ! それにしても爺さんが居るのに露骨に平民を差別する、こいつ等にとっては爺さんは虫けらに等しい存在なのだ。居心地が悪い、面白くないだろうと思ったが爺さんは平然としていた。内心では唾でも吐いているだろう。

フレーゲルが顔を顰めた。
「むろん我々には、代々、ゴールデンバウム王朝の藩屏たる誇りが有る。平民や成り上がりなどと比較されるのもおぞましい」
吐き捨てるような口調だった。上等だ、この馬鹿! 民衆に寄生するのが王侯貴族の誇りか! 怒鳴りつけようとした時だった。

「あー、ちょっと教えて貰いてえんだが。育ちが悪いんでガラの悪いのは勘弁だ。ついでに無学なのもな。藩屏ってなあ何だ?」
爺さんがのんびりした口調で問い掛けた。意表を突かれたのだろう、一瞬間が有ってから失笑が部屋に満ちた。
「藩屏というのは守護
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