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ゾンビの世界は意外に余裕だった
2話、レグロン登場
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そのためにB棟の自分の研究室に移動する。 俺は研究室のパソコンを見た。
「キャリーいるな。レグロンの人口知能コード501を見せてくれ」

 レグロンの外見は人間そっくりだ。本当は女性型にしたかったのだが、発注者である大日本共和国軍陸軍参謀本部の石頭は、男性型を譲らず、ついには強権を発動して俺を屈服させた。

 そのレグロン。現在は迷彩服を着せられ、ベッド型の整備台の上に横たわっている。

「レグロンの人口知能コード501です」

 俺はこれにゾンビの基本データと新しい行動規範を入力する。別の国でアンドロイドとロボットが暴走事故を起こして以来、大日本共和国ではそれらに厳しい行動規範が定められている。

 今回の設定変更はちょっとばかり法律に抵触するが、今必要なことは、あらゆる脅威から優先的に俺を守る存在を生み出すことだ。 俺は基本コードの書き換えを始めた。まずご主人様を大日本共和国の軍人から俺に変える。さらに拷問禁止などいくつかの規制を無くす。


「キャリー。レグロンを臨時所長の認証で起動する」
「はい、斎藤様」

「昨日から気になっていたが斎藤様は変な感じがする。そうだな。これからは私、いや俺のことはボスと呼べ」
「ボスですね。了解しました」


 戦闘用アンドロイド・レグロンは起動するとすぐに立ち上がり、俺に敬礼した。北アメリカ合州国のアフリカ系鬼軍曹達をモデルにしたレグロンは、各種戦闘技術をインストールする作業の途中だが、現段階でも突撃銃で武装した俺が十人居てもかなわない相手だ。

「斎藤様、御命令を」

「レグロン。俺のことはボスと呼べ」

「わかりました。ボス」「大日本共和国の状況は分かっているのか」

「キャリー様と情報リンクを結んだ結果、大日本共和国は危険なゾンビに襲われていることは知っています」
「よろしい。改めて命令するが、お前の任務は人間やゾンビなど、ありとあらゆる脅威から私を守ることだ」

「承知しました。ボス。他の戦闘用アンドロイドもしくはロボットがあれば、任務遂行の確率が高まります」

 この研究室にも俺の手掛けた戦闘アンドロイドが何体かある。だが、さしあたってはレグロンだけで良いだろう。

「分かっている。事態が悪化したら考慮するつもりだ。しかし今はレグロン、お前だけが頼りだ」
「分かりました」

 頼もしい護衛を得た俺は更衣室に向かった。軍の委託を受けているため、研究室にはあからさまな私物を置いておけない。そのため更衣室の大きなロッカーに、着替えなどが置いてある。

 そして、更衣室の近くにはシャワールーム……。俺は熱いお湯を浴びてさっぱりしてから、レグロンと警備指令室に陣取り、眠くなるまでネット二次小説を読んで過ごした。

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