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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
最終話 和平条約締結  
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名前ですが当初、ヴァレンシュタイン委員長の名前を付けた賞にしようという意見が出ました。提案者ですし和平にもっとも尽力した委員長の名前を付けるべきだと考える人が少なからず居たのです。でもヴァレンシュタイン委員長自身がそれを断りました。

“三千万人を殺した人間の名前を付けた賞など血生臭過ぎる。それに罪悪感からそのような賞の設立を考えたのだろう等と言われたくない。それでは賞の意義が歪みかねない”
それが理由でした。そして代わりに“プロメテウス”という名を提案したのです。

プロメテウスは人類に火を与えたとされるギリシアの神の名前です。人類はその火を使う事で多くの恩恵を受け文明や技術を育んできました。新しい賞の名前に相応しいだろうと……。三国で調整していますが特に反対は出ていません。おそらく賞の名前はプロメテウス賞になるでしょう。



宇宙歴 797年 6月 13日  イゼルローン国際協力都市  ミハマ・サアヤ



イゼルローン国際協力都市の大広間で和平条約、通商条約の調印式が行われていました。中央のテーブルにはグリーンヒル外交委員長、アルドニン通商委員長、リッテンハイム侯が座っています。そしてその周囲には多くの政府関係者、ヴァレンシュタイン委員長、リッテンハイム侯爵夫人、そして私も参列しています。歴史的な一大イベントに参加しているのです、マスコミも来て全宇宙に放送しています。ちょっと緊張です。

この調印式の前日、昨日の事ですがヴァレンシュタイン委員長への双頭鷲武勲章の授与式が同じ場所で行われました。大勢の参列者、マスコミの前で授与式は行われたのですがリッテンハイム侯爵夫人が委員長の胸に勲章を付けた後、委員長に話しかけました。

“私は今皇帝アマーリエの代理としてここに居ます。これから言う事は皇帝アマーリエの言葉です。ヴァレンシュタイン委員長、御両親の事、心から御詫びします。そして委員長が同盟に亡命せざるを得なくなった事は紛れも無く帝国の罪によるものです、委員長に罪は有りません。私は銀河帝国皇帝として委員長と御両親に対して行われた不正について心から謝罪します”
そしてリッテンハイム侯爵夫人は一歩下がると片膝を折って深々と頭を下げました。

大広間の彼方此方でざわめきが起こりました。マスコミのフラッシュも凄かったです。ヴァレンシュタイン委員長は一瞬ですが呆然としていたと思いますがフラッシュに気付くと直ぐに侯爵夫人に近寄り夫人の身体を引き起こしました。そして侯爵夫人の両手を包み込むように握って何事かを話すと今度は委員長が侯爵夫人の両手を握ったまま深々と頭を下げました。

授与式の後、マスコミから何を話したのかとの質問にヴァレンシュタイン委員長は
“自分は軍に入って多くの帝国軍人を殺してきました。自分に対する謝罪は無用
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