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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第2章 幻想御手事件
24.July・Afternoon:『Predator』T
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てる。風紀委員には、大能力者(レベル4)空間移動能力者(テレポーター)が居るって」

 その残骸から、約二十メートル程離れた場所に転移した黒子と嚆矢を、忌々しげに見遣りながら。

「っ……なんですの、今の……一体あの人の能力(スキル)は……!」
「『質量操作(マス・ゲーム)』……触れている物の、質量を増減させる能力だ」
「『質量』……ではやはり、あれは……!」

 辛うじて『攻撃』を避けた彼女が、魔本を携えた少年を望む。鬱屈と赤濁した眼で、こちらを見る古都を。
 答えた嚆矢も、視線は古都から離さない。最早、一瞬の油断が死に繋がると分かっているから。

「ああ────物質が、自分の持つ万有引力で自壊する現象……所謂、『事象の地平線(ブラックホール)』を、実証した訳だな」
「なんて厄介な能力ですの……!」

 言っている側から、古都の手元に魔本が悍ましく脈動する。それが、何か。かつて手にした事がある嚆矢には、分かった。

Tibi(ティビ) Magnum(マグナム) Innominandum(インノミナンドゥム)signa(シグナ) stellarum(ステラルム) nigrarum(ニグラルム) et(エト) bufaniformis(ブファニフォルミス) Sadoquae(サドクァエ) sigillum(シギラム )────!」

 唱えられた言葉と同時に、辺りに漂い始めた腐臭。そして……耳に忍び込むような微かな嘲笑。

「何……ですの、この、笑い声……?」
「チ────『星の吸血鬼(スター・ヴァンパイア)』か!」

 こうなれば、魔術の隠匿などに拘ってはいられない。運良く、すぐ脇には高架の骨組みである鉄骨が露出している。何とか誤魔化せるだろうと、嚆矢は『右手』でそれに触れて。

飢える(イア)飢える(イア)飢える(イア)────!」

 昼間の、搾り滓のような魔力を注ぎ、玉虫色に揺らめくダマスカスブレード『賢人バルザイの偃月刀』を召喚する。

「剣────今、どこから?」

 呆けた声を上げた黒子に、反応を返せない。そんな状態ではない、今、彼は瀕死に近い。

──反動は、かなり酷い。トラックと正面衝突したような、気の遠くなる頭痛。つまり、死ねるくらい。鼻奥に感じる鉄の臭いを無理矢理吸い込む。そうすれば、次は舌に感じる鉄の味。それを無理矢理、飲み込んで。やっと準備完了だ。
 ッたく、喚んだだけでこれか……こりゃあ、『ヨグ=ソトースの時空輪廻(ディス=インテグレート)』なんざヤったら死ぬな……。

 それだけの反動を推してでも、この祭具を呼び出した理由は単純明快だ。
 目に見えない『星の吸血鬼(スター・ヴァンパイア)』を捉える方法は、
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