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雲は遠くて
8章 美樹の恋(その2)
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レンツと恋に落ちる。

ふたりは恋人同士となり、強い(きずな)で結ばれる。
しかし、カミーユの前には、かつて愛したスリヴァンが(あらわ)れる。

「この映画は、人間の持つ矛盾(むじゅん)を積極的に容認しています。
そしてそうした矛盾こそが、人生の重要な構成要素だと思います。
ヒロインのカミーユは、同時に、ふたりの男を愛し、
そのアンバランスな関係に、バランスを見いだすのです」

ポップコーンやソフトドリンクといっしょに買ったパンフレットの
ミア・ハンセン監督のそんな言葉が、・・・オトナの世界って、
やっぱりそんなものなのかなあ・・・と、心にしみる、美樹だった。

ふたりの男性を、同時に愛してしまうなんて、特別なことでも
ないのよね、きっと。

わたしの場合は、はるくんと、しんちゃん・・・。

映画を()ながら、ヒロインのカミーユと、
いまの自分の境遇(きょうぐう)が、
偶然の一致(いっち)にしても、不思議なくらい、
よく似ていると、感じる、美樹であった。

≪つづく≫ 
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