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雲は遠くて
6章 信也のマンション (その1) 
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ツ)やパンを売る小さな店だった、
株式会社モリカワの、この10年間ほどの急成長や、
斬新(ざんしん)な経営は、
しばしば、雑誌などのマスコミでも取り上げられるほどだった。

社長や副社長は、一種、カリスマ的な雰囲気の存在感であった。


川口信也のマンションの玄関のチャイムがゆっくりと1度だけ()る。

テレビ・ドアホンの広角ワイドな、
カラーの大型・モニター画面には、
清原美樹(きよはらみき)小川真央(おがわまお)の、
(うつ)っていて、笑い声が聞こえる。

いまさっき、鏡を見て、あわてて、髪の寝癖(ねぐせ)を、
水をかけて(なお)したばかりの、
信也は、「よお、よくきてくれました」と、意識した明るい声で、
玄関のドアを、丁寧(ていねい)()けた。

≪つづく≫ 
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