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雲は遠くて
4章 多摩川(たまがわ)花火大会
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出したハンカチーフで涙をぬぐった。

美咲は、松下陽斗(まつしたはると)とは、これ以上、
特別な交際をしないことを、あらためて心に(ちか)うのであった。

夜の8時近くには、フィナーレ(最後の幕)の、いよいよ佳境(かきょう)がやってきた。

大音響の爆発音をともなって、8号の花火玉の100連発が、次々と打ち上げられる。

時が()まったように、夜空が、赤や青や(みどり)(むらさき)や黄色の大輪の花たちで、
明るく()まる。

そして、連発仕掛(しか)け花火の、スターマインが打ち上がって、
金色や銀色にキラキラと、ひかり(かがや)いて、
滝の流れのような、広大な空中のナイアガラが、夜空に出現(しゅつげん)する。

夜空に(えが)かれた、光のファンタジー(幻想)、爆発的なエネルギーの音、
鮮烈にきらめく色彩の数々、そんなアートの世界に、すべての人は酔いしれた。

会場は、終始、歓声や、ため息、明るいわらい声に、つつまれていた。

夜の8時過ぎには、およそ6500発の花火は、すべて全部打ち上げられて、
全プログラムは終了となった。

≪つづく≫ 
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