「冥王来訪」の感想


 
コメント
菊タブーだけど、なぜ皇帝は男、悠陽と冥夜の2人は皇室の姫を設定しない? 
作者からの返信
作者からの返信
 
>皇帝は男、悠陽と冥夜の2人は皇室の姫に設定しない
一応、2003年のマブラヴ18禁版発売当初は悠陽は女帝の設定でした。
そうすると冥夜は悠陽の姉妹ですから自動的に内親王(支那語で公主)の扱いになります。

近代以降の慣例を考えると悠陽と冥夜の父親は践祚して皇帝になっているはずです。
一応父親が天皇の御位に就いていない光格天皇というお方が居りますが、このことは尊号一件ということで非常に難しい政治問題を残しました。

古代には斉明天皇や元正天皇など父親が皇位についていない方もいましたが、それは摂位いう考えで、臨時の天皇と考えられたためでした。

斉明天皇は亡き夫舒明天皇との嫡子、天智天皇を即位させるためでしたし、元正天皇はおいの聖武天皇の成人するまでの摂政に近い立場でした。

古代以降、女帝が廃れたのは孝謙天皇の周囲で権勢をふるった僧侶・道鏡の存在があるためです。
道鏡は孝謙天皇の病気治療のために呼ばれた僧侶で、現在で言うカウンセラーに近い立場であったと考えられています。

天武天皇から聖武天皇までは血による正当性を固めるために非常に濃密な血縁関係にある女性を妃に迎え入れました。
そのせいでしょうか、天武帝の嫡子草壁皇子をはじめ、その孫の文武天皇、ひ孫の聖武天皇まで病弱でした。
聖武天皇には一応何名かの男児は存在しましたが、近親婚の影響で男児がほぼ成人せず、聖武天皇が譲位するときには嫡子はいませんでした。
 孝謙天皇は聖武天皇とその皇后である光明子の娘ですが、成人しても結婚も出来ずに留め置かれ、20歳で立太子されました。
これは非常に異例なことで、現在も日本史における女性皇太子は孝謙天皇、ただ御一人だけです。
 日本の皇室の不文律で女性天皇や女性の摂政は終身独身でなければなりません。
即位前に結婚するのは許されていますが、即位後は終身独身です。
これは古代からずっと維持された決まりです。
 孝謙天皇は立太子された時点で終身独身が決まったようなものでした。
さぞお辛かったことは想像に難くありません。
孝謙天皇は一度譲位して、病気に伏せられます。
その際、看病にあたったのが道鏡でした。
道鏡の看病でご回復なされた孝謙天皇は、再び重祚されて称徳天皇となられます。
重祚後、看病中に相談役でもあった道鏡が寵の対象になるのは自然な事であったと思います。
独身の孝謙天皇には後継ぎがいませんでしたし、天武天皇の系統には嫡出の皇子がいませんでした。
(今の皇統は天智天皇の庶出の皇子の子孫です)
そこで孝謙天皇の寵を受けた道鏡が天皇に推薦さ事件が起こりました。



 長々と書きましたがそのようなことを避けるために日本人は女帝というものをタブー視します。
悠陽と冥夜の2人が皇女ならば、その相手の白銀武は道鏡のようなポジションになるのではと、内心恐れてしまうのです。

このことを避けるには悠陽と冥夜の2人に男の兄弟がいれば、話は非常に簡単でした。

また繰り返しになりますが2000年代前半は日本の国論を騒がした皇位継承問題で荒れていた時期です。
架空の国家ならばいざ知らず、日本の名を使っていますからどうしても微妙な問題なのです。
ゆえに途中から五摂家とか元枢府という意味不明な設定をしたものと思われます。

>皇帝は男
これが無難なんでしょうけど、そうすると主上と皇女では国政を動かせる範囲が違いますし、影響力も違います。
皇女が騒いだところで、政府も軍も動きませんよ。
しかし一度御位に就いた人物の影響力は絶大です。
2017年の譲位をめぐる一件をお調べになればお分かりいただけるでしょう。