「銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)」の感想


 
コメント
作者さんはラインハルトやキルヒアイス、ヒルダやオーベルシュタインが嫌いみたいですね。

銀河英雄伝説という作品は、
王朝を簒奪した英雄がアンチテーゼである英雄と戦いながら宇宙を平定し新しい歴史を作っていくという趣旨の作品ですが
作者さんはどうやら簒奪というシチュエーションが嫌いで、それを行うキャラクターをおとしめているように思えました。
ラインハルト、キルヒアイス、オーベルシュタイン、ヒルダ、そういった簒奪に関わったキャラクターを
貶めてている印象です。ラインハルトなんかはもうわがままな子供扱いですよね。
さらにはラインハルトを毒殺したり、オフレッサーで蓋をして出世しないようにしたり、辺境警備隊に左遷したり
キルヒアイスとオーベルシュタインを銃殺したり。ヒルダを議論で押さえ込んで人間的に未熟だと描写したり
簒奪を行うキャラへの作者さんの嫌悪感や恨みがにじみ出ています。
ですが、銀河英雄伝説最大の魅力は野心的な英雄が旧体制を破壊し歴史を作るということなので
作者さんの嫌悪感と恨みが銀河英雄伝説本来の魅力を消しているように思いました。
あと要塞を要塞にぶつける話でヤンたちを消滅させるかと思えばしないし
自由惑星同盟の軍を包囲して勝てる状況で、殲滅した方が軍事的抵抗力を削げるのに殲滅しなかったりと
自由惑星同盟への優遇がひどかったです。たぶん作者さんは帝国嫌い、同盟好きなんでしょう
ですが、まぁそれなりに面白い小説でした。銀英好きにとってはちょっと苛つく小説でしたが