「IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説~新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)」の感想


 
コメント
運がなかったな、ジークフリード・キルヒアイス。

原作ではラインハルトは戦略・戦術ともに天才と評価されている。

だが、原作におけるラインハルトの戦績を見てみると、明らかに苦手な相手がいる。
ヤン・ウェンリーはもちろんだが、ビュコックと戦った時も圧勝する事が出来ず、最終的にビッテンフェルトを使って力で押し崩している。

「金髪の孺子」は天才だが、彼にはその短い生涯に、遂に得られなかったものがある。

時間だ。
そして、負け戦の経験。

場数を踏んだ提督たちは、負け戦か、劣勢の戦いを凌いだ経験を必ず持っているものだ。

あまりに才能に恵まれ、あまりに若くして出世したラインハルトには、老巧な提督たちが地面を舐めて会得した「不利な状況をどう凌ぐか」を学ぶ機会がなかった。

同じく、人並み以上の才能に恵まれ、ラインハルトの引きで出世してきたキルヒアイスには「不利」が「死地」に変わるまでの取り返しの付かない時間を、「逃げる」事に使う事が出来なかった。

彼の性格であれば、負けを知る機会さえあれば、ラインハルトと違って逃げる事を躊躇う事もなかったであろうに。