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万華鏡

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第八十三話 卒業式に向けてその七

「そうした世界なのよ」
「じゃあ私なんかは」
 彩夏は食事制限の話を聞いてこう言った、見れば浮かない顔になっている。
「アイドルは無理ね」
「食事制限があるから?」
「そう、絶対に無理よ」
 琴乃にも言うのだった。
「食べたいもの食べないと」
「辛いわね、本当に」
「最近食べないとね」
 満腹になるまでだ、この場合の食べるとは。
「辛いのよ」
「それでなのね」
「そう、そんな食事制限があったら」
「無理っていうのね」
「そう、無理よ」
 絶対にと言うのだった。
「お腹が空いて動けなくなるわ」
「けれど動けなくなってもね」
「それで辛いって諦めたらって世界よね」
「アイドルになれないってね」
 琴乃は里香を見つつ述べた。
「そうなのよね」
「そう、スクールアイドルでも真面目にしてたらね」
「普通に軽音楽部より辛いわね」
 琴乃は里香の言葉も聞いて言った。
「本当に」
「そうよね、だからね」
 また言う彩夏だった。
「アイドルを観ることは好きでも」
「自分がなることは」
「そう、無理よ」
 これが彩夏の出した言葉だった。
「絶対にね」
「そうなのね」
「やっぱり軽音楽部でいいわ」
 バンドでだとだ。
「まあうちの学校にもね」
「アイドル研究会があってね」
 里香が彩夏に答えた。
「それでその中で」
「スクールアイドルもなの」
「作ろうって動きがあるみたいよ」
「うちの学園にもアイドルが誕生するのね」
「そうみたいよ」
「誰でもアイドルになろうと思ったらなれるのね」
「なれてもね」
 それでもだと言う里香だった。
「なってからもね」
「大変ね」
「というかスクールアイドルってな」
 美優はそのジャンルのアイドルについてこう言った。
「昔だと信じられない話だよな」
「そうよね、それはね」
「アイドルってそれこそ芸能界だけで」
 こう景子にだ、美優は話した。
「手の届かない存在だったよ」
「昔はね」
「それが今だとな」
「学園にもアイドルがいるなんて」
「やっぱりないよ」
「そうよね」
 こう言うのだった、景子も。
「昔は」
「そうよね」
「それが今はな」
「学校でもアイドルがいるとか」
「凄い話だよ」
 美優はしみじみとして言った。 
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