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東方変形葉

作者:月の部屋
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全国10カ所の妖気
  東方変形葉46話「早すぎて損はない・・・?」

 
前書き
裕海「・・・誰?」
姫雪「にゃ~ん!」
裕海「そのピンクの毛は・・・姫雪?猫の姿にもなれるんだ。」
姫雪「にゃふにゃん!」
裕海「“翻訳の変化”っと。もう一回言って。」
姫雪「にゃふにゃん!(猫の妖怪ですから!)」
裕海「へ~、・・・うりうり」
姫雪「にゃっ!?にゃわあぁああ!(あっ!おなかはなでちゃだめぇっ!)」
裕海「もふもふ・・・もふもふ・・・」
姫雪「にゃうにゃん!?(裕海しゃま!?ちょっ、なんだかいつもと違う!?)」
説明しよう!裕海はかわいいものに目がないのだ!
姫雪「にゃっ!?(誰っ!?)」
 

 
「・・・えっち。」
「ごめんごめん。つい可愛すぎたから。」
最高のもふもふ感だった。今気分がすこぶるいいのだが、その代わり姫雪の機嫌をやや損ねてしまった。頬をふくらまして壁に向かって三角すわりしている。人形たちはまだ寝ている。それにしても、姫雪はいつから俺と同じぐらいの時間に起きるようになったんだろう。
「さてと、朝ごはん作ろうっと。姫雪も少し手伝って。」
「・・・たてにゃい。」
「え?」
見ると、何か腰を抜かしたかのように座り込んでしまっていた。
「ありゃりゃ、どうしてこんなことに?」
「・・・ばか。」
よくわからないが、まあいいや。朝ごはんを食べて、挨拶に回ったら外の世界へ行ってくるか。
「にゃっ!?」
姫雪を抱っこして、再び布団に寝かせる。ああ、もう一度猫になってもらってもふもふしたいけど、さすがに猫パンチ喰らうかもしれないな。代わりにあたまを数回撫でて、部屋を出た。
「にゃふにゃ・・・」



「ゆ~~~~み~~~~~く~~~~~ん!」
「おっと!?」
橙が全速力で走って抱きついてきた。それをなんとか受け止めた。
「紫さまから聞いたよ!今日また外の世界に行くけど、早く帰ってくるかもって!」
「うん、長くかかっても一週間かそのぐらいだろうからね。」
そういうと、橙は飛び跳ねて騒いだ。あ、向こうで霊夢が睨んでる。静かにしろと目で訴えているようだ。
「とにかく、もう少ししたら挨拶に行ってくるよ。」
「うん!」



少し急ぎだったので、早く終わらせた。あとは、ここか。
「あっ!裕海だ~!」
「おはよ、ルーミア。」
ふわふわと飛んでやってきたのはルーミアだ。・・・あれ?
「・・・ねえルーミア。髪のリボンぼろぼろだよ?」
「うん!でも、私の力では外せないの。」
どういうこと?・・・よく見ると、リボンの端に“封”と書かれている。よくわからないが、触っちゃダメな気がする。
「待ってて。修復するよ。“再生の変化”」
リボンにそっと手を伸ばす。すると、みるみるリボンがもとに戻って行った。
「わ~い!ありがと~!お礼にあなたを食べていい?」
「お礼って言わないぞ。それ。さてと、みんなはいるかな?」
そういうと、草陰から音が聞こえてきた。・・・うん。みんないるね。おかげで手間が省けたよ。
「そこにいるのはわかってるよ。」
「ぎくっ!こ、ここにはだれもいませんよ?」
います。本当にありがとうございました。声はチルノのようだ。
「“浮遊の変化”」
「「「「わぁっ!?」」」」
リグル、ミスティア、大妖精、チルノが浮いて出てきた。そっと地面に降ろす。
「だから言ったじゃん。絶対にばれるって。」
「リグル、挑戦はをした分だけあたいは強くなるのよ!」
・・・ミニコントが始まった。なんて画期的な力のつけ方。でも一概に否定はできないから口出しもできないし。
「裕海さん、先日はありがとうございました。」
ぺこりと大妖精が頭を下げて言った。
「ふふっ、それほどではないよ。ほら、頭を上げて。」
大妖精が頭を上げたと同時に緑の髪をそっとなでる。
「え、えへへ。」
「ヤツメウナギいる?」
「う~ん、今はいいや。それは今度またここに帰ってきたらにするよ。」
ミスティアがウナギを勧めたが、拒否する。もうすぐ夕飯だし。
「帰ってきたらって?」
「ああ、外の世界でやり残した作業があるから、それをしにいったん行くんだよ。ああ、多分あまり長居はしないから、きっとすぐに帰って来れるよ。」
一瞬、全員が暗い顔をしたが、すぐに帰って来れると聞いてぱぁっと明るくなった。
「ちゃんと、お土産も買ってくるよ。」
「あたい、強くなれる薬欲しい!」
「挑戦が薬じゃないのか?」
そういうと、チルノがうっと言葉に詰まり、全員が笑った。



「・・・紫。準備はいいよ。」
リュックを背負い、左腕で人形たちを抱え、右手で姫雪の手をつなぐ。
「わかったわ。じゃあ開くわよ。」
別に俺の能力でも行けるんだけど、2つの結界を超えるのは少し疲れるからね。大きな薄暗い穴が現れた。
「じゃあ、行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
そして俺たちは再び、外の世界へと歩いて行った。



「ねえメリー、今日はどこに行く?」
大学の講義が終わり、クラブの活動の一環として喫茶店を回ることにする。まあ、少し前は秘封倶楽部“らしい”活動をしていたが。
「そうね。あそこの喫茶店なんてどうかしら?」
「あっ、いいね。あそこにしよう。」
からんからん、と心地よい音が扉の開閉とともに鳴る。
「いらっしゃいませ。もしかして蓮子様とメリー様でよろしいですか?」
「「?」」
いきなり、店員が私たちの名を挙げたので、素直にはいと答えた。もっとも、メリーというのはあだ名なんだけどね。
「あちらの席で、お二人をお待ちになっておられるお二人がいらっしゃいます。」
二人?いったい誰?言われた席に行ってみる。すると、
「やあ、2人とも。久しぶり。」
「こんにちは~!」
裕海と姫雪ちゃんだった。
「・・・あっちのことはもう済んだの?」
「ああ、黒幕はしっかりと潰しておいたよ。結構強かったから俺一人ではやられていたかもしれないけどね。」
メリーが訊くと、裕海は紅茶を飲みながら言った。そんなに強い妖怪だったのか。
「とにかく、今日から少しの間だけまたお世話になるよ。よろしくね。」
彼はにっこりとほほ笑みながら言った。



「とりあえず、一日に二カ所回るよ。多くて三カ所。まあすぐに済みそうだから一週間で帰る予定だよ。」
「あら?それだと三日ぐらいで終わっちゃうわよ?」
メリーが質問した。
「うむ。実はあっちで外の世界のお土産と宴会の食材を買う約束をしているからさ、その買い物をするよ。そのときは、案内してくれる?」
「ええ、良いわよ。ね、蓮子。」
「うん!とっておきのところがあるからねぇ!」
良かった。実は京都に来たのって今回が初めてだからどこで何を探せばいいか迷っていたんだよね。・・・幻想郷にないような宴会の材料か。難題だな。お金はほとんど持ってきてあるから心配ないとは思うけど。
「さっさと終わらせるために、今日は早速行ってくるよ。ね、3人とも。」
「「「ね~っ!」」」
姫雪と人形たちは合わせて言ってくれた。周りの人に人形たちや、姫雪の猫耳と尻尾を見られないようにしっかりと隠している。
「今日は何処へ行こうと思ってるの?」
「えっと、長崎のつがねの滝。広島の似島。余裕があれば香川の立石隧道へ行こうかと思ってるよ。」
「へ~」
蓮子が訊いてきたので答える。極寒の地、北海道を優先しようかと思ったけど、そんな覚悟はまだできてない。きっと雪がすごい積もっていることだろう。



長崎。つがねの滝。正確にはつがね落としの滝。比較的小さな滝だ。滝の周りには、ちょっと害のありそうな小さな妖怪がたくさんいた。
「姫雪、できる?」
「うん!いくよ~、殲滅の矢!」
ぴゃっと矢を放つと、あたりの妖怪は皆消し飛んだ。うわお、なんて威力だ。この能力って意外とチートなのかな?少ない妖気を浄化し、長崎を後にする。



広島。似島。瀬戸内海の広島湾に浮かぶ島だ。島の名前の由来は、富士山に似た山があるかららしい。
慰霊碑の近くに来た。ここからほんの少し妖気が感じるな。めんどうだから、一発で決めてしまう。
「神力解放。すぱああぁああああぁああく!」
光線によってごおおおっとすごい勢いで妖気はもみ消されていった。妖気はすぐに消された。
「ふう、あとは香川か。」
スキマで香川の立石隧道に行く。



「ふう、ただいま。」
三ケ所回っただけでかなり疲れた。人形たちや姫雪にもたれかかりながら歩いている。
「おかえり~、相変らずぼろぼろで帰ってくるね。さあ、早く寝た寝た。」
「ああ、そうするよ。」
蓮子に布団を敷いてもらい、すぐに寝た。



翌日の夜。俺は大学にはついていかず、家で本を読んでいた。鈴奈庵で借りた本が結構面白いのだ。
魔法についての本。
魔法って意外とバリエーションあるんだな・・・ん?これとかいいかもしれないな。よし、これにしよう。



「一気につぶそう。」
残る三カ所に、魔法陣を仕掛けてきた。これでどんな妖怪でも人に害を為す妖怪ならすぐに消滅する。
「姫雪、きらちゃん、ほたるちゃん。ちゃんと仕掛けたところが爆発したか見てて。」
「「「うん!」」」
スキマを若干開き、それぞれのスキマの前に座ったのを確認した。
「あんまり魔法は得意じゃないけど。変幻魔法・彗星閃光!」
ばっと唱えると、スキマから爆発の音が響いてきた。
「こんなぐらいか。3人とも、大丈夫?」
「うん、千葉のこっちは大丈夫だよ。」
「新潟のこっちも大丈夫!」
「北海道も、大丈夫だよ。」
ふう、成功したようだ。今度魔法の練習をしようかな。“浄化の変化”で3カ所の妖気を完全に取り除く。
「おわった~!」
これで終わりだ。え?早すぎるだろボケ~って?仕方ないよ。早く終わっちゃったもの。
「魔法なんて初めて見た~!すっご~い!」
「本当にあったのね。魔法なんて。」
蓮子とメリーが興奮したかのようにきゃっきゃと騒いでいる。
「さて・・・眠い。」
体がふらっと傾き、布団にダイブする。そのあとの記憶はない。



続く
 
 

 
後書き
46話です。
スピード解決で申し訳ないです。ただ、なんとなく秘封倶楽部メンバーとお買いもの描写が書きたくなったので一気に終わらせてしまいました。
 
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