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壊れた時計

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第四章

 カナワはマクドネルとオーフェルにだ、難しい顔で言った。
「もう今日はな」
「はい、駅で」
「ここで泊まりますか」
「何時か正確にわからないからな」
 それではだった。
「どうにもならないからな」
「駅で詰めて泊まって」
「そうしますか」
「幸い食事は置いてある」
 パンなり缶詰なりがだ、いざという時の為に置いているものだ。
「それを食べてな」
「今日はここで休んで」
「明日ですね」
「全く、どういう日なんだ」 
 カナワは困り果てた顔でこうも言った。
「時間が狂うなんてな」
「しかも世界中ですから」
「無茶苦茶ですよね」
「一体どういう日なんでしょうか、今日は」
「何があるんでしょうか」
「わからないな、しかしな」
 それでもと言うカナワだった。
「今日はもう寝よう」
「そうしますか」
「とりあえずは」
 こう話してだ、そしてだった。
 三人はそれぞれの時計を見た、カナワは十一時半だったがマクドネルは十一時三十五分、オーフェルは十一時三十一分だった。勿論駅の中の時計もそれぞれの携帯の痴漢もだ。
 全く違っている、それでだった。
 三人共時間の狂いに首を傾げさせつつもとりあえず寝た、そうして。
 朝早く起きた、最初に起きたのはカナワだった。
 彼は起きると習性として時間をチェックした、起きた時間が何時かとだ。
 仮眠室の時計の時間は四時半だ、そして。
 彼の腕時計をチェックした、その時間は。
 四時半だった、それでだった。
 彼は驚いてだ、すぐにマクドネルとオーフェル同じ部屋にそれぞれ寝ていた二人に声をかけた。
「おい、起きてくれ」
「?駅長」
「どうしたんですか?」
「すぐに君達の時計をチェックしてくれ」
 言いながらだ、カナワは今度は自分の携帯のデジタルで出る時間もチェックした。するとその時間もだった。
 四時半だ、そこにさらに希望を見て二人に言ったのである。
「すぐにだ」
「わかりました、では」
「今から」
 二人も彼の言葉に応えてだ、そしてだった。
 すぐにそれぞれの腕時計をチェックした、マクドネルはスペアのものもだ。するとその全ての時計がだった。
 四時半だった、勿論携帯のものも。
 それでだ、マクドネルはカナワにこう言った。
「あの」
「元に戻ったみたいだな」
「ホームに出てみますね」
 オーフェルは実際に靴をはいてから駅のホームに出た、制服の上に毛布を被ってソファーで寝ていたのでそうするだけですぐに動けた。 
 そしてホームの時計をチェックしてだ、二人のところに戻って来て答えた。
「間違いないです」
「全部一緒か」
「一緒の時間か」
「そうです」
「と、するとだ」
 ここまで確かめてだ、カナワは言った。
「時間は完全に戻ったな」
「そうですね、間違いなく」
「戻っていますね」
「ああ、本当によかった」
 カナワはほっとして二人に言った、そしてだった。 
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