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万華鏡

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第八十一話 寮生活その八

「だから私も言ってるけれど」
「それでも酔うとなんですね」
「ああなるんですね」
「そうなのよ、だからあの娘もね」
 高見先輩もだというのだ。
「彼氏いないから」
「あんなに美人なのにですか」
「それでも」
「そうなのよ、潤ちゃんはっきり言って美人でしょ」
 女の子から見ても、というのだ。
「あの娘」
「はい、かなり」
「あの人相当な美人ですよ」
「目鼻立ち揃ってますし」
「髪の毛だって綺麗で」
「普通にやったらもてるのよ」
 それだけの外見があるというのだ。
「性格も悪くないから」
「ですよね、絶対に」
「彼氏出来ますよね」
「それが出来ないのは」
「お酒ですか」
「酒癖ですね」
 五人共すぐにわかった、高見先輩についても。
「あの人も結構ですから」
「酒癖が」
「そうなのよね、潤ちゃんも酒癖がよくないから」
 宇野先輩は自分のことも入れて話した。
「だからね」
「彼氏出来ないんですね」
「お酒のせいで」
「酒癖が悪い娘は酒癖が悪い男の子よりもてないわよ」
 宇野先輩はこうも言った。
「はっきり言ってね」
「男の子よりもですか」
「もてなくなるんですか」
「そう、男の子で酒癖が悪いとまだ許されるところがあるのよ」
「けれどなんですか」
「女の子は」
「そう、許されないのよ」
 男子のそれ以上にだというのだ。
「これがね」
「それどうしてなんですか?」
「何で女の子の酒癖が悪いのは駄目なんですか?」
「女の子は大人しくて優しい、特にお酒の場ではね」
 宇野先輩は五人にこうも答えた。
「それで酒癖が悪い、暴れるとね」
「男の子以上にですか」
「嫌がられて」
「そうなの、だから私も潤ちゃんもね」
 彼氏が出来ないというのだ。
「あんた達もそこは気をつけてね」
「はい、わかりました」
「教訓にさせてもらいます」
 五人もこう答えた。
「さもないとですね」
「自分に降りかかりますから」
「自分で撒いた種は自分に返って来るわよ」
「いい種も悪い種もですよね」
「返って来ますよね」
「そう、自業自得って言葉もあるけれどね」
 この言葉通りにというのだ。
「自分がやったことは返って来るから」
「お酒も注意ですか」
「酒癖は」
「彼氏が欲しいのなら特によ」
 絶対に、という口調だった。今の宇野先輩は。
「いやあ、本当に私も気をつけないとね。部長にも言われてるし」
「部長さんにもですか」
「そういう風に」
「そう、ところであんた達部長をどう呼んでるのよ」
 ここでこうだ、宇野先輩は五人に問うた。 
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