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ソードアート・オンライン~漆黒の剣聖~

作者:字伏
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アインクラッド編~頂に立つ存在~
  プロローグ

 
前書き
処女作です。

楽しんでいただければ幸いです 

 
2022年、人類はついに完全なる仮想空間を実現した。

無限の蒼穹に浮かぶ巨大な石と鉄の城≪アインクラッド≫

内部にはいくつかの都市と多くの小規模な町や村、森と草原、湖が存在する世界。

それが世界初のVRMMORPG≪ソードアート・オンライン≫

このソードアート・オンラインを手に入れた一万人のプレイヤーたちはサービスが開始となるとすぐにログインした。

さっそく狩場に出て行く者、仲間と待ち合わせをしている者、様々であったが世界初のゲームジャンルVRMMORPGを楽しんでいた。

しかし、それが絶望の始まりであった。

気付いた時にはログインした誰一人もログアウトすることができなくなっていた。

バグだ、と言う者、ゲームマスターに問い合わせをしようとする者、困惑しながらおびえる者、など様々な反応がログインしたプレイヤーたちに見受けられた。

そんな中行われた、ソードアート・オンラインのディレクター≪茅場晶彦≫によるチュートリアル。

突然突きつけられた絶望の現実にプレイヤーたちのほとんどが恐怖、絶望、怒りなど負の感情にとらわれた。

そして、恐怖のMMOの幕開けとなった。

茅場晶彦によるチュートリアルでは、ログアウトするためにはこのゲームをクリアする必要があるということ。この世界でHPが0になれば現実の世界でも『死』を意味するということ。外部からの助けが来ることはないということが話された。

馬鹿げたことを・・・、と鼻で笑うプレイヤーもいた。脅しだ、と唱えるプレイヤーもいたがその確固たる証拠を見つけられ、信じるしかなかった。

『これは、ゲームであっても、遊びではない』

茅場晶彦の謳い文句が現実となった瞬間であった。

そして、発売されてから二年後の今、かつては1万人ものプレイヤーが存在していたが今では、6000人にまで減ってしまっていた。



ある階層のボスフロア、そこは混沌と化していた。地面にはいくつものクレーターができ、焼け焦げている。壁を見渡すといくつもの爪痕が刻まれ、ところどころひび割れを起こしている。見るからに激戦の跡地であった。そんな混沌と化したボスフロアの中心には炎のように赤いの鱗を持つ一匹の竜が佇んでいた。その竜は何かするわけでもなくただ目の前に倒れている一人のプレイヤーを見下ろしていた。HP全損こそ免れているプレイヤーだが、もはや風前の灯以外他ならない。今のボスフロアの混沌さが先の戦いの激しさを、そして、目の前に立つ赤き竜の異常なまでの強さを物語っていた。それでもプレイヤーはまだ戦おうと己の武器である刀を杖にし、ふらつきながら立ち上がった。そして、それを見た赤き竜は口を開いた。

〝・・・・・・まだ戦うか、弱きものよ〟

常人ならば言葉を聞くだけで萎縮してしまいそうになるが、プレイヤーはそんなこともろともせずにいた。息を切らしながらも赤き竜を睨めつける眼は死んでいなかった。

〝何が主をそこまで駆り立てる〟

「駆り立てられてるわけじゃないんだがな・・・。唯、嫌いなんだよ。あきらめるってことが。ただそれだけ・・・」

立っているのもやっとの状態のプレイヤーだが、その言葉にははっきりとした意志が込められていた。満身創痍な状態でありながらもそのプレイヤーは笑っていた。

「それにさ、こういう状態のほうが生きてるって感じがするんだよ」

〝・・・・狂っておる〟

「ひどい言われようだ」

赤き竜の言葉に肩を竦めながら苦笑いをしながら答えるプレイヤー。死に直面しているというのに恐怖を感じていないように思える仕草に赤き竜は訝しげに思いながらプレイヤーに問い掛けた。

〝なぜ、闘う。死を恐れぬのか?〟

「恐れて何になる?それにな、目の前のことから逃げて、何もかも諦めて塞ぎ込むのは、死んでるのと何が違うってんだよ!!」

赤き竜の問いに即答するプレイヤー。その瞳に臆した様子もなく、本心からの言葉だというのが見て取れた。それを見た赤き竜は、翼をはためかせ飛び立とうとしていた。

「・・・とどめを刺さない気か」

〝弱きおぬしを倒したところで何になるというのだ〟

「そうかい。どう思うとあんたの勝手だ。だがな、忘れるなよ。俺はもう一度あんたの前に立ちはだかるぞ」

〝・・・我にかなわぬと知ってなお我に挑むか、愚かしい事よ〟

そう言って赤き竜は飛び去って行った。プレイヤーはぼろぼろの体に鞭を打って叫んだ。

「いいかっ!!次会うときまで決して忘れるな!!おれの、おれの名は―――――」
 
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