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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第三章 悪夢
  第13話 炎の精霊

 
前書き
始めての2話連続投稿です 

 
士道「真那!?」

真那「はい、また危ねーところでしたね」

上条消失発覚後、狂三はそんなことどうでもいいと言わんばかりに士道に標的にした。

すると、急に狂三の腕が切られたかと思ったら、上空から真那が降りてきたのだ。

だが、狂三は自分の腕が切られたのにも関わらず、いつもの小高い笑い声で切られた右腕を見せながら言ってくる。

狂三「きひひ、相変わらず凄いですわね。私の霊装をこうも簡単に切り落とすなんて……」

狂三「でぇ、もォ……私だけは殺させて差し上げるわけにはいきませんわ」

狂三は左手を上にあげながら叫んだ。

狂三「おいでなさい、『刻 々 帝 (ザフキエル)』!!」

瞬間、狂三の背後から、巨大な時計が姿を現した。中央にある針は短銃になっている。

狂三が笑うと短針に当たる銃が外れ、狂三の手に収まった。

そして、

狂三「『刻 々 帝 (ザフキエル)』……【四の弾 (ダレット)】」

狂三がそう唱えると時計の『Ⅳ』の数字から影が出てきて、狂三が握る短銃の銃口に吸い込まれていった。

そして、

真那「な……」

狂三が左手に握った銃口を自分のあごに押し当てたと思うと、

ドン!という音が響き、そして……

地面に転がっていた狂三の右手が、映像を巻き戻すかのように浮き上がり、狂三のもとへ飛んでいったのである。

何事もなかったかのように狂三の右手は修復された。

真那「……初めて見る手品ですね。素晴らしい回復能力です」

狂三「きひひ、違いますわよう。時間を戻しただけですわ」

真那「……何ですって?」

狂三「さあ、さあ、始めましょう、私の天使を見せて差し上げますわ」

真那「ふん、上等です。またいつものように殺してやります」

狂三「きひ、きひひ、まァァァァァだ分かりませんのぉ?あなたに私を殺しきることは絶ェェェェェッ体できませんわ」

真那「そんなの関係ねーです!私は私の使命を果たすだけです!」

狂三「〈刻 々 帝 (ザフキエル)〉……【一の弾 (アレフ)】

すると先ほどと同じように文字盤の『Ⅰ』の部分から影が染み出し、短銃に吸い込まれていった。

そして自分のあごに銃口を押し当て、引き金を引く。

瞬間。

真那「ぐっ……」

その場から狂三が消え、真那が吹き飛ばされた。

真那は空中で方向を転換すると、虚空を蹴るようにして狂三に猛進した。

だが狂三の身体がまたしても消え去り、次の瞬間には真那の後方に出現していた。

そしてまたしても蹴り飛ばされる。

だが真那は空中で体制を立て直し、狂三が目にも留まらぬスピードで真那に向かっていく。

狂三「〈刻 々 帝 (ザフキエル)〉……【七の弾 (ザイン)】!」

と、その途中で、文字盤の『Ⅶ』から染み出した影が狂三の歩兵銃に吸い込まれていった。

そして即座にそれを真那に向け、放つ。

真那「無駄だと言って……」

その後に言葉はなかった。

随意領域(テリトリー)を持つ真那にはその程度の銃弾が通るわけがない。

だが、






真那の身体が空中に飛び立った状態で、完全に停止していたのである。








狂三「あァ、はァ」

狂三が笑い、真那の身体に何発もの銃弾を放っていく。

これで真那を確実に瀕死の状態に追い込める。

狂三「あら……?」

そこで狂三は違和感を覚えた。

確かに自分は真那に銃弾を撃ったはずだ。

なのに、




″真那に撃ったはずの銃弾がどこにもない″





狂三は真那が何かしたのかと思った。

いや、それはない。今、彼女は現在進行形で時間が止まっている。

狂三は確認のためもう1発撃った。

確実に自分がどこに撃ったか分かるよう慎重に。

しかし、



銃後はどこにもなかった。



狂三「一体……何がどうなっていますの……?」

狂三は本当の意味で困惑した。今までこんなことはなかった。

士道も狂三の異変に気付いたのか、声をかけた。

士道「お、おい狂三、どうしたんだ?」

狂三「おかしい……おかしいですわ!一体何がどうなっていますの!?」

狂三が時間が止まっている真那に叫ぶように声を出した。

その返事は以外なところから返ってきた。




?「悪いが、テメェの銃弾は真那には当たんねえよ」




声は狂三の右から聞こえた。

そちらを振り向くと、




右手が『龍の顎』なった上条当麻がそこにいた。



狂三「……浮いてる?それにその右手は何ですの……?」

上条「いちいち答えてたらキリがねぇよ。とりあえず、俺が上条当麻だってことは覚えとけ」

そして上条はゆっくりと空中を移動し、真那のところまで来た。

上条「所詮、その拳銃も中の弾も異能で造られたやつだから幻想殺しで打ち消せることは知ってたが……まさか俺の″右手″がここまで強いとはな……でもまあ、他人の力を借りねぇとこの″左手″にならねぇとは……まだまだ修行不足だな」

そして、時間の止まっている真那を″左手″で触った。



その瞬間、



時間の止まっていた真那が動き出した。




狂三「なっ……」

突進してくる真那を間一髪避けた狂三は、地上に降り立って、驚愕の表情で真那と上条を見ていた。

真那「チッ……避けられましたか……あと当麻さん、来るの遅いですよ」

上条「悪かったって。またなんか奢ってやるからさ」

真那「本当ですか!?」

2人はこんな状況にもかかわらず何事もなかったかのように楽しげな会話をしている。

それは士道と狂三をさらに疑問に追い込むものだった。

狂三「楽しいお話中のところ悪いのですが……当麻さん、あなたは何者ですの?」

上条「俺か?俺はただの高校生だよ」

狂三「……その状態で言われても説得力はありませんことよ?」

上条「そうだろうな。……どうやら狂三はさっきの現象が気になるようだな」

狂三は上条の言葉に目を細めた。

さっきの現象とは、真那に銃弾が当たらなかった件だろう。

上条と真那は地上に降り立って、狂三を見据え、上条が口を開いた。

上条「特別に教えてやるよ。今のはただ単に真那の前に″幻想殺し″を展開させただけだよ。例えるなら真那と狂三の間に見えない壁を出した……と言えば分かるか?」

狂三「展開……ですって?」

狂三のいつもの笑みはとうの前に消えていた。今はその恐ろしい現実を受け止めるだけの気力さえ、なくなっている様な感覚に陥っている。

狂三「……それで?当麻さん、あなたは私を殺す気できましたの?」

上条「まさか。狂三を救うために決まってるだろ。でもお前の強さが想像以上だったから、この状態にさせてもらったよ」

狂三はこの時思った。

ーー私を救う?まだそんな寝言を言ってますの?ーー

そんな狂三を気にも留めず2人は話し始めた。

真那「そんなことしてたら、時間がきちまいますよ?」

上条「それまでに倒せばいい話だ。もちろん殺さないようにな」

真那「……で、倒した後はどーするつもりなんですか?」

上条「……どうしようか」

真那「……前にも言いましたけど、後先考えずに突っ走るのはどーかと思いますよ?」

上条「ゴメンゴメン……って何ため息してんだよ!?」

そんな中、完全に蚊帳の外にされた士道は、

士道「令音さん、俺はどうしたらいいですかね……」

と令音に話しかけるが、

令音『すまないシン、私にも何が起こっているのかよく分からくてね』

令音もこの状況にはお手上げのようだ。

上条の姿、先ほどの現象、そしてその上条と仲良く話す真那。

これを一発で理解できるものなどいないだろう。

と、そこで士道の後方から、バン!と扉を開け放つ音が響き、

十香「シドー!」

折紙「ーー士道」

士道の名を呼ぶ2つの声が屋上に現れた。

士道「十香……!?折紙……!?」

振り向き、名を呼んだ。

十香「大丈夫か、シドー!」

折紙「怪我は」

2人は同時にそういうと、一瞬睨み合ったが、その先にいる狂三と、覚醒した上条と、そばにいる真那に気付いた。

真那「鳶一一曹、十香さん。ご無事でしたか。しかし……十香さん。その姿は一体……」

十香「シドーの妹2号。おまえこそ、その格好は何だ?それに当麻も右手が龍の頭みたいなものになってるぞ?」

真那と十香は互いに怪訝そうな視線を交わしたが、すぐに狂三の笑い声が響いて、言葉を中断した。

狂三「あら、あら、あら。皆さんお揃いで」

十香「狂三!いきなり逃げたと思ったらこんなところにいたか!」

折紙「あなたの行動は不可解。一体何の真似」

士道「え?逃げた、って……?」

士道が問うと、十香が首肯してきた。

十香「うむ、狂三が邪魔しに現れたのだが……先ほどの爆発のあと、どこかへ逃げていったのだ」

折紙「それはおかしい。時崎狂三は、私と交戦していた」

十香「何だと?」

十香は一瞬訝しげな顔をしたが、すぐに狂三のほうを向く。

狂三「うふふ、ふふ。ああ、怖いですわ。こんなにもか弱いわたくし相手にこんな大勢で襲うだなんて……でも私も今日は本気ですのよ?ねえ、わたくしたち」

『な……っ!?』

士道と、十香と、折紙と、真那と、上条の声が被った。

しかしそれも当然だ。

地面に覆い尽くされていた影から手が出てきたと思えば、それは、全て『狂三』だったのだから。

狂三「うふふ、とはいえ所詮写し身、わたくしほどの力を持っておりませんのでご安心くださいまし」

真那「ふん……っ!」

真那は空中に飛び立ち、ニットを可変させて幾条もの光線を放つ。

その攻撃を逃れた狂三が真那に襲いかかる。

だが、それは上条の右手によって防がれた。

その上条に何人もの狂三が上条に襲いかかる。

上条「フン!」

上条が龍の右手を左から右に、まるで誰かの手を思い切り振り払うような動作をすると、数人の狂三が、バリン!という音を立てて消えていった。

上条「ふ〜ん。偽物には右手が反応するんだな」

そして残りの狂三を倒そうとした。

しかし、

上条「ぐはっ!」

真那「当麻さん!?」

簡単に言えば上条が血を吐いた。

まるで誰かに殴られた時のように。

的確に言えば全身から血が出てきた。

まるで全身の血管が千切れたように。

上条の右手の『竜王の顎』や左手のオーラは消え、いつも見ていた上条当麻の姿になった。

上条「くそ……っ、もう、時間……切……」

もちろん、上条の右手が覚醒したからと言ってその代償がないわけではない。

上条に宿っていた右手を覚醒させるためには魔力が必要だった。

その魔力を精製するために修行を行い、右手と左手の覚醒に成功した。

しかし、魔力の消費が激しい上に、上条の魔力はまだ少ない。なのでこの状態になるのは数十分しかなれないのだ。

だが上条はそれを承知した上で時間切れになった。

もちろん、上条は覚醒した状態でどのくらいその状態でいられるか、それを何度も神裂や土御門やステイル、そして真那とも修行し、計算をしていた。

では何故計算を誤ったのか。

それは″左手″にあった。

今の上条では左手の覚醒にはある程度、他人の力を借りないと覚醒できなかったのだ。

その後は自分の魔力だけでそれを維持できる。

今までの計算は右手だけの場合でやっていたので左手を計算に入れてなかったのだ。

これが上条の失敗であり敗北である。

空中にいた上条は重力によって落ちていく。

真那「くっ!」

それを真那がなんとか受け止める。

そして狂三の数が多すぎる。

折紙と十香は士道を守るように展開していたが、左右から取り囲まれ、攻撃を加えられ、その場に取り押さえられてしまう。

時間にして5分にも満たない出来事だった。

狂三「きひひ、ひひひひひ。あらあら、真那さん、形勢逆転ですわねぇ」

真那「くっ……」

真那は上条を抱いているので両手が塞がっている。狂三が襲ってきたら反撃できない。

狂三「士道さん達には絶望を刻み込んで差し上げないといけませんわね」

そう狂三が言うと、狂三は銃を持っていた手を空に掲げる。

その瞬間、



ウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ……



と高々しい音が響いた。

士道「空間震警報……ッ!」

十香「もう空間震がきてるぞ!」

真那「このままじゃ……避難が間に合わない……」

折紙「くっ!」

この場にいる士道、十香、折紙、そして真那が焦る中で狂三だけが不敵な笑みでいた。

狂三「きひひ、ひひ。さあ、士道さん。絶望の淵に落ちてくださいまし」

狂三に反論したかったが、それも出来ない。

この状況を打破できる唯一の可能性を持った上条も気を失っている。

もう終わりか。

ここにいる誰もがそう思った時、



急に空間震が吹き飛ばされた。



士道「何が……」

?「知らなかった?空間震はね、発生と同時に同規模の揺らぎをぶつけると相殺できるのよ」

??「だからって俺の力を借りなくてもいけたンじゃねェのか?」

???「まあまあ、許してやってくださいよ」

音源のする屋上の外、つまり上空を狂三、折紙、十香、真那、士道が見上げた。

そこには、





炎の纏い、天女の羽衣のような姿をした琴里、

背中から天使の翼を生やした一方通行、

そして背中に4本の竜巻を携えた佐天がいた。






琴里「少しの間、返してもらうわよ、士道」

士道「え……?」

琴里の言った意味が分からず、眉をひそめる。

折紙「……っ、あれは……」

なぜか折紙が士道も見たことがないくらい顔を驚愕に染めていた。

琴里「焦がせ、〈灼爛殲鬼(カマエル)〉」

次いで琴里がその名を口にする。

すると再び彼女の周りに炎が生まれ、巨大な棍のような円柱形を形作っていた。

士道は言葉を失った。

琴里の姿も、その横にいる2人のことも。



琴里「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう」






 
 

 
後書き
狂三編が終わりました!いかがでしょうか?

まあこのままの流れで琴里編に入るのであまり終わった気がしませんが……その辺は目を瞑ってください。

次は佐天さんと一方通行が主役(?)ですので乞うご期待を(笑)

最後に、

ここまで読んでくださってありがとうございます!!

これからも何卒よろしくお願いします!! 
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