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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉27話「夢幻泡影」

 
前書き
豊姫「あ~あ、裕海はまだ来ないのかしら。」
依姫「あ、お姉様。今日は稽古に付き合ってもらいますよ。だいたいお姉様はいつも桃ばかり―――」
レイセン「裕海さん、いつ来るんでしょうか。」
豊姫「レイセンもそう思うよね。あ、そうだ!裕海へのプレゼントでも買いに行きましょうか!」
レイセン「私もついていきます!」
豊姫「じゃあ決まりね。いってきま~す!」
レイセン「いってきます~!」
依姫「―――だからお姉様も一緒に・・・っていない!?」
 

 
少しだけ時間がたった。光線や光弾が飛び交うが、俺は余裕の表情をみせていた。
「くっ!?なんでお前、そんなに元気なんだっ!?」
魔理沙の消耗は激しかった。まあ、こっちもこの先会うであろう強敵と戦うことになるだろうから様子見をしていたから、あまり攻撃をせずに疲労を待っていたが。さすがにあれだけ光線をぶっ放していればこうなるのも必然。
「俺はいつでも元気だぞ?さて、そろそろ終わりにしないとまずいからな。」

神変「千変万化の花畑」

とても美しい花畑が魔理沙を襲う。一撃で仕留めるなら光線だが、相手は疲労している。判断力、集中力、感覚、勘などそれらがもう保てなくなる。この弾幕は誘導性能が優れている。
「はあ、はあっくっ!?わあああああああああっ!?」
よし、なんとか倒した。
「あらあら、あなたはまだ落ちてなかったのね。さすがといえばさすがなのかしら。」
声がした。振り向くと、よくわからない服を着た女性、永琳がいた。たしか力は幻想郷トップクラスだったような。
「俺はしぶとく、粘っこいだけだよ。悪いけど倒させてもらう。」
「月の頭脳相手に大した度胸ね。いいわ、倒せるものなら倒して見せなさい!」

神符「天人の系譜」

光線の網を張られ、動きが制限される。その範囲内で弾幕をよけなければならない。しかもその弾幕が超高密度だし。
「さあ、まさかもうお手上げだなんて言わないわよね?」
「言わないよ、永遠に。『恐怖の眼』『威力の変化~鬼~』」
スキルカードを同時発動。永琳の死角に、目玉がぎょろぎょろしているスキマを開く。そこから、後者のスキルカードによって、眼から出る光線がとんでもない威力になる。
「あら、こんなところに。えいっ」
なんと、弓ではじいちゃいましたよ、この人。
「いい?私に死角なんていう甘いものはないの。何一つ」
ふうん?抜け目ないな。だったら、
「ないなら作ればいいんだね。」

幻覚「妖しき火に誘われた妖鳥」

「っ!?」
俺の周りには妖しい色の火がくるくると回っている。それをめがけて高速弾が渦をまきながら飛んでくる。
ちなみに、あの妖しい火は生物の意識も誘われるため、集中力、忍耐力などが試される。
「な、なによこれ・・・っ!」
永琳が弓を引こうとしても、地味に隙を与えない不断の弾幕であるため、なかなか攻撃できない。地味にすごいスペカ。さて、もうひとつ。
「今度は当てるよ!『恐怖の眼』『威力の変化~鬼~』」
永琳の意識が向いていないと思われるところに配置する。
「し、しまった!!きゃああっ!」
被弾。だけどこれは近接扱い。だからこその後者のスキルカード。
「いったああっ!やってくれるじゃない。私も本気を出すわよ!今なら輝夜が見ていないから本気を出せる!」
ん?輝夜を“姫様”と呼んでいたような気がするんだが。・・・それに見ていないから本気を出せるってどういう・・・?そう考えていると、永琳が弓を構え、光の矢が飛んできた。とっさにかわすが、どうやらそれは罠だったようだ。
「がっ!?」
畜生、そういうことか。かなり痛い一撃を喰らった。
もう一本矢があったのだ。正確には、本物の矢が。さっき避けたのは幻の矢だ。光る矢だからこそできる罠だった。
「さあ、あなたは私に勝てるかしら?」



「さあ、あなたは私に勝てるかしら?」
今戦っている相手は読みの名手、葉川裕海。月の賢者である私でさえ、あの子の読みにはついていけない部分がある。
あの子が永遠亭で日帰り修行をしていた頃、あの子の力を試してみた。兎達の弾幕を四方八方から飛ばし、裕海がそれをどう避けるか。結果、ただならぬ量の弾幕は一発も体に当たらずに避けながら歩いていた。私でさえ、危うく当たりかけたのに、あの子は当然のようにかわしていた。
さっきの罠にはかかったが、次はもう恐らくかからないだろう。
裕海はふふっと笑みをこぼしてみせた。
「勝たせてもらうよ、なんとしても。」

幻想「綺羅星人形劇」

「いけっきらちゃん!」
「いえ~い!」
木の陰で座っていた人形の1人が飛び出してきた。美しい弾幕を放ちながら飛び回っている。若干厄介だが、この程度なら余裕でかわせる。しかし、なめていた。
「っ!?な、何?」
頭がなかなか回らない。どういうことなの?集中力が切れたにしては早すぎる。
「“遅滞の変化”の結界。これで君の完璧な頭脳は働きが遅くなる。つまり、頭がまわりにくくなる。」
彼がつぶやいた。でもどうして?能力は制限されているからかなりの疲労が起こるはずなのだけれど。
「すっごく小さな結界だから、正直引っ掛かるかどうか不安だったけどね。」
そうか。能力の効果が出る範囲を最小限にした結界。それを張ればもう疲れなんて全く起きないのだろう。
「頭脳の働きが悪くなると、当然集中力も判断力も保てなくなる。さあ終わりだ!!」

神変「建御雷命のお怒り」

不覚。私がこんなに追いつめられるなんていつ以来かしら?ああ、しまったわ。こんな人の子にやられるだなんて。そして私は弾幕の光に埋もれていった。



「ふう、危なかった。」
正直、結界がなかったら勝てなかったかもしれない。
「おい、葉川裕海」
声をかけられた。また相手かと振り返ると、結界の外のお茶屋で椅子に座ってお茶を飲んでいる善知鳥響希がいた。
「あれ、久しぶりだな。」
「ああ、久しぶり。そっちもがんばっているようだな。」
会った時と変わらず、なぜか少し上から目線の言動だ。
「それよりも、うちの店に人が来ないのを早くどうにかしてくれ。」
あ~、このイベントが終わったら伝えておくか。
「わかったよ。それにしてもお前はもう帰らなくてもいいのか?もう暗いけど。」
時間で言うとだいたい深夜の1時くらいになるだろう。
「ふん、仮眠をしてきた。一度まだ日が落ちて間もないころにお前があの中国人みたいなやつと戦っているのを見て、お前と一度話をしようかと思ったら、周りのやつがうるさくてな。だから一度帰って寝て、人が全然いない時間帯にやってきたのだ。」
ああ、確かににぎわっていたな。
「まあ、俺はもう寝るがな。」
響希が帰ろうとしたその時、
「はあ~い。裕海、戦いましょ。そこの人間も、めったに見られない私のスペルカードを見てから帰って寝なさいよ。」
紫がスキマから現れた。どうやら事前に仕掛けていたスキマらしく、スキマを開いた時もあまり疲れてはいなかった。
「あんた誰?」
「あなたから名乗りなさい。」
「はあ、俺は善知鳥響希だ。幻想外雑貨という店の店主だ。」
「私は八雲紫。この幻想郷の管理人よ。」
2人は互いに自己紹介をした。
「さて、さっき氷精も不死鳥の蓬莱人も風祝も毒人形もメイドも悪魔の妹も落としたし、あと残っているのはあなたと霊夢だけよ。」
おや、もうクライマックスか。
「だから、まずはあなたを落としてから霊夢を落として、優勝するの。主催は私だけどね。」
ふうん?という表情をしていて、ふと考えたことがあった。紫は何か企んでいると。しかしその“何か”がわからない。はっきりしない。そのとき、響希が口を開いた。
「・・・このイベント、無意味に始めたわけじゃないんだろ?“主催”の八雲紫さんよ。」
あいつは気づいていたのだ。俺が考えていた、はっきりしないもやを晴らす事実を。ああ、忘れていた。あいつの能力は、五感と六感で分析する程度の能力だったな。たしかそれともう一つ持っていたな。
「あらあら、どういうことなのかしら?」
「ふん、簡単なことだ。どうやら君は、とてもめんどくさがりな妖怪のようだな。しかしそんなめんどくさがりな妖怪が思いつきだけでこんな面倒なイベントを始めると思うか?思いつきだけなら、飽きてしまうのが世の常だ。まあ、ここからは俺の六感が分析したことだが、君は恐らく重大な調査をしているな。それも2つ。一つは、この幻想郷の住民がどれほどの力、精神力、判断力など様々なものどれほどを持っているかを図りたかった。そのためには能力は邪魔だ。だからスペカ以外の能力効果を制限した。そしてもう一つ。幻想郷の住民のその様々なものを向上させるため。本来修行していない者も、このイベントなら絶対参加で、出場せざるを得ない。」
紫はかなり驚いた顔をしていたが、すぐにふふふ、と妖しい笑みを浮かべてみせた。
「ご名答。その通りよ。あなたなかなかできる人間ね。」
「ほめてもらっても困る。分析するのは俺の趣味みたいなものだからな。」
紫はくすっと笑いをこぼし、こちらを向いた。
「さて、あなたの実力を試させてもらうわよ。」
「望むところだ。ね、2人とも。」
「よーしゃしないよ!」
「しないのだ~!」
人形たちは意気揚々である。いいこといいこと。
「さて、いくぞ!」

変符「無限変幻 張」

いろんな種類の弾幕が形を変えながら飛びまくる。ある程度弾幕が飛ぶと、その弾幕が戻ってくる仕組みになっている。ただし、折り返し地点は弾幕の壁であり、この弾幕の壁から脱出はできないし、できたとしてもまた次が来る。
「なかなか変わったスペカね。これで吹き飛んでしまいなさい。」

廃線「ぶらり廃駅下車の旅」

2秒ほど構えをして、なんかスキマから電車を出してきた。うわっ何あの威力。弾幕を蹴散らして行きながらこっちに走ってきた!
でも、それなら対策はとってある。

変位「無限変幻 瞬」

相手のいる場所と、自分のいる場所を一瞬で入れ替えてしまう。相手が出した弾幕を相手が受けることになる危機回避用のスペカ。ちなみに、入れ替えたあとは弾が様々な弾幕に変化しながら渦を巻いて襲い掛かる。まあ、入れ替わるのは一回だけだが。
「っ!?いつのまにっ!?くっ、『幻想狂想穴』」
「『桜吹雪旋風』」
スキマに入り、目の前に現れた。だが俺はそれを読んでいた。そのため現れる寸前にスキルカードを唱えた。
紫の下からピンク色の弾幕が舞いあがる。
「いたあっ!?よ、読んでいたわね?」
「ああ。それよりも気をつけなよ?」
「えっ・・・あぶなっ!?」
渦を巻いて紫に飛んでくる、ある意味で変化球な弾幕。いや、あの弾幕の量をかわすとは、なかなか手ごわい。
「ぬっ、これでも喰らいなさい。」

幻巣「飛光虫ネスト」

紫がスキマに座り、足を組んで扇子をこちらに向けると、大量のスキマが現れ、高速弾が飛んできた。俺の持っているスペカと似ている。
「さすがに避けづらいな。」

変異「無限変幻 拡」

少量の弾幕を放つ。それらの弾幕は相手に近づくにつれて大きくなっていく。大きくなるのだから、威力も相当なものである。
「これはかなり難しいわ。何よこれ・・・」
「『恐怖の眼』」
紫の死角に“眼”を配置する。
「いたっ!?あ、あんなところにいつの間に?くっ、これでもっ!!」

結界 「生と死の境界」

・・・なんかとんでもない弾幕の量なんだが。意外と威力はあるらしく、俺の弾幕がどんどんはじかれていく。
「これは厄介だなあ。でも、次で決めよう。このままでは霊夢戦はきつすぎるからな。」

変遷「無限変幻 流」

ランダムで、どこから流れてくるかわからないスペカ。おっと、今回は紫の真下からのようだ。
この弾幕の威力は俺のスペカの中では光線を除き右に出るカードはない。そのかわり数は言うほど大量ではない。
「この発狂弾幕を超えられるかし・・・ら・・・え?きゃあああああっ!?」
悲鳴が響いた。さすがにあの弾幕嵐を超えるのは予想外だったらしい。
「・・・ふふふ」
まだ落ちていなかった。被弾はしたのか服が少しぼろぼろである。
「喰らいなさい。」

「深弾幕結界 -夢幻泡影-」

「それは儚い弾幕の結界。夢、幻、泡、影。どれもこれも儚く壊れやすい。そう、これは人の儚さを意味している。」
周りに弾幕が配置されていく。
「私の奥義の一つを、人の儚さを体感しなさい。」
これは、俺が持っている弾幕結界と似ていて、どこか違う。
かなり避けづらい。発射され、なんとかかわすが、これは読みにくい。
突然、御札が大量発生し、それが紫に向けてゆっくりと、かなりゆっくり進んでいる。すごい量の御札は俺の動きを制限したため、これはまずいと思ったが、もう紫に攻撃の様子はなかった。
「ふふふ、このあと頑張ってね、裕・・・み」
がくっとスキマから落ちた。それをなんとか受け止めた。気絶している。
「ふう、疲れた。でもこのまま霊夢戦は・・・」
まずい、といいかけてやめた。目の前に霊夢がいたからだ。
「あら、紫を倒したのね。ということは、あなたが決勝戦の相手ということになるのかしら。」
「ああ、そうなるな。」
お互いににこっ微笑み、そして同時に言った。
「「勝負!」」



続く

響希「・・・俺、そろそろ帰っていい?」

 
 

 
後書き
27話です。
裕海のスペルにあった、○○「無限変幻 ○」は、霊夢の、○○「夢想封印 ○」を見て考えました。
さあ、次は霊夢戦!さて、勝てるでしょうか。 
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