| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

アラガミになった訳だが……どうしよう

作者:アルビス
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

アラガミになった訳だが……どうしよう
  6話

自分の知らぬうちに特大の地雷を踏んでしまったわけだが、ここから逃げ出す訳にはいかんな。
ここで放置すれば原作に登場すべきキャラクターが一人消えてしまう、そうなると一体どのような影響が出るか想像もつかないが少なくとも俺の知る話や、目指すべき結末と違う結果になることは目に見えている。
このまま放置するのが本来の流れで、この後も何かしらあって助かるのかもしれないが不安にも程があるぞ。
となるとやはりどうにかしてこの家族をもう一度安全なアナグラに放り込むしかない訳だが、十中八九普通に戻ったのではロクな事にはならんな。
さて、フェンリルから逃げ出したもっともらしい理由…娘が実験材料にされそうだったから、では当然却下されるな。
となると、フェンリルの利益となるような事を理由にしなければならない、例えばフェンリルが欲している物を手に入れる為とかだな。
2053年、神機開発まで約3年、恐らくアラガミの死体やら死に掛けの状態のアラガミからのオラクル細胞の採取や、それらの個体に残っていたであろう偶然食い残されたコア、良くて半壊状態のコアで実験しているのだろう。
そんなフェンリルが欲している物は単純な話アラガミのコアだろう、それも可能な限り原型を留めている物だ。
それはコンゴウやらの中型ではなくオウガテイルやらのような小型でも十分だろう、それを手に入れる為に支部から飛び出したという形にした上で、実際にそれを持って取引の材料とすれば一年程度の逃亡など容易く不問に出来るだろうし、寧ろ釣りが出るな。
さて、となると早いところこの一家の首を引っ掴んでとっとと来た道を引き返さねばならない。
「で、カナメ。お前、何年もここに居られるなんて思ってないだろ?耐アラガミ装甲もいずれは対応されて効果を果たさなくなるのは分かってるだろ?」
「はい…ですが、フェンリルの下にいるよりは幾分かマシですよ。それにある程度機材も持ち出しましたから、多少ならば装甲を改良することも出来ますから」
「はぁ…人、それを問題の先送りって言うんだよ。いいか、俺がお前ら家族を助けてやる、だから俺を信じろ」
「……何を言っているんですか?」
まぁ、そりゃそうなるだろうよ。いきなり、こんな事を言われたら誰だってそんな変人を見る目をするに決まっている。
「要するにお前らがアナグラから逃げ出した理由は娘が実験材料にされるかもしれない、その一点だろ?それさえどうにか出来ればいいのなら、俺がどうにかしてやる」
「そんな方法が…あるんですか?」
「アラガミを行動不能の状況でフェンリルに手渡し、代わりにお前らの安全を保障させればいいんだよ」
「アラガミを行動不能なんて……不可能ですよ」
「できるんだよ」
そう言って腕を変化させるとカナメは呆然とした表情で俺を見て、掠れた声で一言だけ呟いた。
「アラ…ガミ…?」
「そうだ、お前の前に立っているのは人間と同等の知能を持つ人型のアラガミだ。さて、ここでもう一度提案してやる。俺に助けを乞え、そうすれば幾つかの条件付きで助けてやる。拒否すれば……分かるな?」
きっと今の俺は絵に描いたよう悪役の表情をしているのだろうが、こちらとしては何としてもこの一家には生き残って貰わなければならん。
もしかするとここでこの一家が死んでも本編への影響は小さいかもしれない、代わりに別の誰かが同じ役回りをするかもしれない。
だが、しないかもしれないという可能性も十分すぎるほどあるのだから、可能な限り本編への改変は全力で阻止したいのだ。
「本当に…助けてくれるんですか?」
食いついた!!
「ああ、条件付きで、な」
「………その条件を教えて貰えますか?」
「簡単だ。まず1つ、俺の存在を決して明かさないこと。次に俺の望むアラガミの生息地を逐次連絡すること、その二つだけだ」
「少し……妻と話させて下さい」
「構わない、が出来れば早い所頼むぞ」
そして、カナメは家に入り妻との相談を開始した。
恐らくしばらく掛かるだろうから、今の内少し周りを見て時間を潰すとしよう。正直、腹が減った……



大分離れたところにコクーンメイデンが何体かいたのでそれを喰ってからカナメの家に戻ると、カナメとその妻と彼女に抱きかかえられた娘……恐らく台場カノンが俺を待っていた。
どうやら、表情や様子を見るところ結論は出たらしく、何処に隠していたのかトラックが用意されている。
「その様子、どうやら決めたらしいな」
「はい、どうかお願いします」
「いいだろう、道中のアラガミは適当に蹴散らしてやるから躊躇わず進んでくれ。用がない時はコンテナの上にいるから、必要に応じて呼んでくれ」
さて、どの程度時間が掛かるかは知らんが少なくとも俺のように山を突っ切っての移動は無理だろうから、二、三週間位か?
いや、アラガミを恐れないで進める事を考えれば一週間位になるな。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「ん?なんだ?」
「貴方は……人間の味方なんですか?」
む、随分と答えにくい質問だな。アラガミの味方かと聞かれればNoと答えられるが、人間の味方かと聞かれるとYesとは言えない。
人類を種として見なした場合、支部長のアーク計画は正しいのだがそうなってしまうと俺が死ぬ羽目になるから、こうして原作の流れに持っていこうとしているだけだ。
その道中、関係の無い人間が死んでも別に構いはしない。
「敵ではない、そんな所だな」
無論、目の前で助けられる人間がいれば助けるがわざわざ自ら足を運んでまで助けたいとは思わない、それは冷酷と言われるかもしれないがそんなものは知ったことではない。
俺はヒーローじゃないし、スーパーマンでもない、何処にでもいるただの一般人がアラガミの力を得ただけのただの人間だ。
結局のところ、普通の人間は他人の命よりも自分の命の方が大切なのさ、親にでもなれば話は変わってくるんだろうが残念ながら俺はそんな歳でもない。
「敵ではない、それで充分ですよ」
そう少しだけ微笑みながらカナメと家族は車に乗り込、ん?なんだ?赤ん坊のカノンがこちらを見てくるな。
一体どうしたんだ?
ああ、左手の目か、紫の薄い光を放ち続けるこれが気になるらしいが、残念ながら触らせてはやれないな。
さて、コンテナの上で寝転がって音楽で聞いておこう。
この辺りにはアラガミがいないんだ、しばらく俺の出番はないだろうし、仮にも耐アラガミ装甲があるんだ小型程度ならばあまり近寄ってくることもないだろう。





 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧