アーマード・コア for Answer 蒼穹の空へ還るまで
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第一部
-00-邂逅
前書き
国家解体戦争から数十年経過した。汚染された大地から逃れるため、企業は大規模空中プラットホーム、クレイドルを建造した。人々はそこに移住し、平穏な生活を送っていた。
何時、どこであの爆発が起こっただろう。ノーマルACと呼ばれる量産アーマード・コアが炎をあげながら崩壊を始めた。
「走れ! アームズ・フォートの攻撃だ!」
以前の戦争では、個人の戦闘力の脆さが露呈した。が、この時代は少人数で最大の戦闘力を発揮する、巨大機動要塞を地上で運用する。ノーマルACなどは歯もたたず、最強のAC乗り、リンクスと呼ばれる者たちも並の腕では撃破は叶わない。
ネクストACという最強の兵器は、アームズ・フォートに取って代えられたわけだ。ネクストACはノーマルに先端技術を惜しみなく搭載し、その戦力を大幅に底上げしたものだ。リンクスはこれに搭乗し、企業の尖兵として各地を飛び回る。
戦後の混乱とは、このことを言うのかもしれない。
「離れろ! 生身じゃ爆風でも死ぬぞ!」
轟音の中、先輩の兵士が叫ぶ。「わかってますよ!」若い兵士が叫び返し、背後を仰ぎ見た。
甲殻類のような『脚』で乾いた砂を押し踏みながら進むアームズ・フォート。
「いったいなん――――」
狼狽した刹那、凄まじい轟音と風が兵士の体を包んだ。
呼吸も、聴覚も、何もかもを忘れたような感覚。舞い上がる砂埃。
「あ――――」
俺は、死ぬのか。
砂色の視界に、千切れた先輩の腕が見える。頭が見える。
粉々になった先輩。
その時なんだ。
俺は、
天使を見た。
「ラインアークの部隊か・・・・・・散々なものだな」
ノーマルが四散し、逃げ惑う歩兵を一瞥したジェラルド・ジェンドリンは呟いた。
『勘違いなさらぬよう。敵はラインアークなどではありません。AFランドクラブの撃破です』
「わかっている。ノブリス・オブリージュ、敵AF部隊を排除する」
直線を重ねたデザインの純白のネクスト、ノブリス・オブリージュは文句の言いようがないほど美しかった。背には三本の砲身を連結した翼状の武装が一対広がり、天使を連想させる。
キュウウゥ、ドギュアアァァァァァァッ!
機体が爆発的に加速し、軽々と下方からの迎撃を躱す。
ノブリス・オブリージュは手にした突撃型ライフルを構え、ランドクラブ周辺に展開するMTと呼ばれる量産兵器に向けてその弾丸をばら撒いた。ノーマルにも劣る脆弱な装甲は紙の如し、一発の弾丸で粉砕された。
ノブリス・オブリージュは『翼』を構え、ランドクラブに向きなおった。
計六門の砲が赤い光を帯び、そのまま光の矢となりランドクラブに突き刺さった。
集中的にレーザーの直撃を喰らったランドクラブの装甲は赤くただれ、内部構造が剥き出しになる。
ジェラルドは一切表情を変えず、ノブリス・オブリージュの左腕を繰りだした。
プラズマの光を上げる光刃がそこに突き入れられ、ランドクラブ各部の装甲の継ぎ目から炎が噴き出した。
「と、止まった・・・・・・」
たった一機のネクストACによって。
呆然としてしまった。
先ほどまでは死を覚悟したのに。
高揚した。
『ほう・・・・・・? さすがはノブリス・オブリージュだな』
ふと、俺の背後で美しい声が聞こえた。スピーカー越しでもわかる、凛とした声だった。
『ん?』
誰だかはわからないが、その人は俺に気づいた様子だった。乗っている装甲車で磨り潰すか、ハンドガンで眉間を撃ちぬくか。
『・・・・・・お前、強くなりたいのか?』
寄越した返事は、ハンドガンの弾でも車両でも、どちらでもなかった。
「俺、が?」
『ふん、悔しい顔をしているだろうが。追いつきたいのだろう? あの天使に』
名前も、素性も知らない女性。声だけで、その強い声だけで、俺は頷いてしまった。
アルト・アイゼンベルク、対AF部隊戦にて敵前逃亡。
後書き
プロローグということで好きなことをやらせてもらいました。天使さんはプレイヤーのみなさんにコジマキャノンでボコボコにやられるのでここで活躍しましょう、といった感じです。
今回は短いですが、次回からはどうにかやっていきます。文を書くのが苦手ですが、fAへの愛でやってみます。
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