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オズのモジャボロ

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第十幕その十

「最高のプレゼントだよ」
「それじゃあ」
 こうしてでした、にこにことして。
 ドロシーは女王にも招待状を渡しました、その招待状を受け取ってからでした。
 ドロシーにです、女王はこう言いました。
「さて、お礼にね」
「お礼に?」
「ご馳走させてもらっていいかい?」
 ドロシー達にというのです。
「あたし達のご馳走をね」
「えっ、スクーグラーさん達のご馳走って」
「まさか」
 女王の今の言葉を聞いてでした、五人の子供達はといいますと。
 顔を曇らせてです、こう言うのでした。
「人とか?」
「何処かで捕まえた人とか」
「ちょっとね、それはね」
「勘弁して欲しいけれど」
「流石に」
「ははは、あたし達も改心したんだよ」
 わらってです、女王は五人にこう返しました。
「最初に王女さん達と会った時のあたし達じゃないよ」
「じゃあ今はですか」
「人を捕まえてスープにしたりはしないですか」
「そうしたことは」
「そう、しないよ」
 絶対にというのです。
「だから安心してね」
「だといいですけれど」
「人じゃなかったら」
「山羊だよ」
 この動物だというのです。
「山羊のスープだよ」
「山羊、ですか」
「あの動物ですか」
「それと麓に畑を持っているからね」
 そしてそこからもだというのです。
「そこで摂れた野菜も入れたね」
「そうしたスープですか」
「山羊とお野菜の」
「そうさ、あたし達も放牧や農業をはじめたんだよ」
 ドロシー達と最初に会った頃と違ってというのです。
「だからね」
「それじゃあ」
「今から」
「あんた達山羊は大丈夫かい?」
「山羊って美味しいんですか?」
 恵梨香は真剣なお顔で女王に尋ねました。
「あの生きものは」
「これがね」
 女王は恵梨香の問いに明るい笑顔で答えます、怖いお顔ですがそれでも笑顔になってそうしてこう言うのでした。
「美味いんだよ」
「そうなんですか」
「というかあんた山羊は」
「食べたことないです」
「あれっ、日本でも山羊食べない?」
「そうだよね」
 今の恵梨香の言葉にです、ジョージと神宝が驚いたお顔になって言いました。
「確かね」
「食べてたんじゃ」
「それは沖縄でしょ?」
「ああ、沖縄」
「沖縄だからなんだ」
「私神戸だから」
 八条学園は神戸にあります、だからだというのです。
「沖縄料理はね」
「沖縄料理も確かね」
「そうそう、八条町にお店があったよね」
「寮でも沖縄料理出るし」
「美味しいよね」
 二人は恵梨香の言葉を聞いたうえでこう言うのでした。 
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