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美しき異形達

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第十三話 向日葵の紹介その六

 力を持っている五人もだ、その顔を急に曇らせてだ。そのうえで話をする智和に対してこういったのだった。
「危ないどころじゃ」
「ないね」
「はい、違法なんてものじゃ」
「倫理的にもどうかという話だよね」
「そうですよね」
「人造人間やクローンの技術は色々と問題があるんだ」
 その倫理的な面からだ、智和は六人に話した。
「人が生命を創り出していいのか、そしてその生命をどうしていくのか」
「難しい問題ですよね」
「簡単に結論は出ないし」
「それにですよね」
「悪用すると恐ろしいことになることは間違いないからね」
 それ故にだというのだ。
「そうした生命に関わる研究とかは簡単にしたらいけないんだ」
「絶対にですよね」
「そうだよ。何があってもね」
 このことを話すのだった。
「細心の注意を持って進めていってね」
「そしてですね」
「公の場でオープンにやるに越したことはないけれど」
「先輩のお祖父さんはですか」
「あくまで噂だよ」
 確かな証拠はないというのだ、つまり灰色だというのだ。灰色はあくまで灰色であり黒ではないことが重要だ。
「それでもね」
「危険な噂ですね」
「真実でないことを祈っているよ」
 智和の顔は微笑んでいた、しかしその微笑みは強張っており声も硬い。
「本当にね」
「そうですよね、そうしたことは」
「そもそも人造人間、アンドロイドかホムンクルス的なものかはわからないけれど」
 それが機械的なものか生物的なものかという違いもだ、智和は言及しつつそのうえで六人に話していった。
「そうしたものを作ってどうするつもりだったか」
「悪用していないといいよな」
 薊はその智和に切実な声で言った。
「やっぱり」
「そう思っているよ」
「悪用すれば洒落にならないって聞いてるよ、あたしも」
「そうした技術はね」
「クローンとかもな」
「うん、それこそ悪用すればね」
「アニメとかみたいな話になるんだよな」
 そうした時代になろうとしている。人が生み出してきている技術は架空世界のそれすらも超えようとしているのか。
「それこそ」
「そうなろうとしているよ」
「じゃあ先輩のお祖父さんは」
「何故そうした技術を研究していたのか」
 あくまで噂にしても、というのだ。
「そこが気になるね」
「だよな、本当に」
「そこがずっと気になっているんだ」
 智和にしても、というのだ。
「何かとな」
「そうだよな、まあ事実かどうかわからないことか」
「誰もその噂が真実かと確かめられていないよ」
「誰もか」
「そう、勿論家族の誰も知らないよ」
 最も知っている筈の彼等でも、とうのだ。家族だった彼等も。
「この噂の真実はね」
「そうなんだな」
「そうした噂もある人なんだ」
 それが彼の祖父だというのだ。
「今も有名みたいだけれどね」
「ややこしい人なんだな」
「ややこしいって言えばややこしいかな」
 智和もそのことは否定しなかった。
「紳士ではあったけれどね」
「別に酒好きとか女好きとかギャンブル好きとかは」
 菊は自分の家での仕事からこうしたことについて言及した。 
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