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道を外した陰陽師

作者:biwanosin
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第十五話

いつも通りの日常に雪姫が加わり、殺女の効果でよりいっそう賑やかになった。
そして、その他にもいくつか変わったことがある。
まず、朝食は雪姫が作ることになった。
何もしないで世話になるのは、ということらしい。
個人的には俺のスケジュール管理をしてもらってるから、それでいいんだけど・・・俺が作るより美味しいので、このまま任せることにした。
次に、俺の仕事が増えた。
正確に言うと、雪姫の管理によって、スムーズに出来るようになった結果、やれる量が増えたんだけど。 依頼をこなす量が増えて、気づかぬ間に名前の売れ具合が上がってた。
あんまり売れ過ぎると、正体探られそうで嫌なんだけどなぁ・・・

話を戻そう。

そして、一番の変化は・・・

「さっさと起きないか、殺女!!」

殺女の起こし方だ。

まず、雪姫が起こしにいって・・・

―――ヒュンッ!

殺女がそれに反応して、無意識に拳を放ち、

「・・・頼む」
「ん、了解」

それから、放たれ続ける拳を避けながら俺が近づき(拳圧が余裕で飛んで来るため、命がけだ)、呪力を流し込む。
雪姫からしたら女を男が起こすのは、ということらしいのだが・・・他に起こせる人間がいないんだから、仕方ないと思うんだよなぁ・・・

「ふぁ~・・・あ、おはようカズ君!今日もユッキーはダメだったの?」
「ダメ以外の可能性があるのか?」
「それもそうだね~。ユッキーは怪我とかしてない?」
「・・・大丈夫だ」

そういいながら、腰を押さえる雪姫。
そういえば、さっき避けたときに尻餅ついてたな。

「もう朝?」
「もう朝。ったく、何で一番最初に寝て一番最後に起きるんだよ・・・」
「家主に起こされる居候など、聞いたこともない・・・」

呆れ返っている雪姫にも、もう慣れたものだ。
まあ確かに、俺も家があった頃は居候が掃除からなにまで終わらせてから起こしに来てばっかりだったけど。

「まあ、殺女は席組みなんだからいいんじゃないか?」
「席組みで言うなら一輝もだし、序列は上だろうに・・・」

ごもっとも。
まあでも、家のくらいで言えば土御門との方が圧倒的に上だし、と考えよう。

「まあ何にしても、早く着替えとか済ませてこっちに来い。学校遅刻するぞ」
「もう今さら、行ったところで何にもないけどね~」
「ああ、俺たちは、な」

そう話ながら俺は部屋を出て、自分の家の方で自分の支度をする。
と言っても、寝癖を直して制服を着るだけだから、女性陣ほど時間はかからないけど。
荷物はすべて空間に穴を開けてしまってあるし、特にいるものがあるわけでもないからな。

そして、暇になって空を飛んでたザコ妖怪(市民登録の反応はなかった)を撃ち落とし、二人が来てから朝食をとって学校に向かった。
朝から少し小遣い稼ぎをできたけど、あれ、せいぜい五円だよなぁ・・・



========



「卒業式の答辞?」

昼放課、屋上に行って(鍵が掛かってたけど、ピッキングした)昼寝をしていたら、校内放送で呼び出された。
で、生徒指導室に行って、教頭から言われたことをおうむ返しにした状況だ。


「・・・本気か?」
「なにか不都合でも?」
「少なくとも、答辞を教頭相手にタメ口使うやつに任せるとは思わなかった」
「そこはまあ、そうなんだがな」

そして、理由を話始めた。

「だとしても、ある意味君はこの学校で一番の進学をするようなものだ」
「まあ確かに、そうかもしれないが・・・」
「それに、ランキングも高い」

いや、その点を考えるなら・・・

「ランキングなら、殺女の方が上だろ」
「席組みのお方に、こんなことは任せられん。なんと無礼なことを言うんだ!」

なら、俺にも頼むなよ・・・
と言いたいところだけど、正体をばらすわけにはいかない。
さて、どうしようか・・・

「進学先なら、雪姫も同じだろ」

俺の秘書をやる都合上、同じ学校の方がいいだろう、ということで雪姫も霊厘に合格した。
こっちは、俺や殺女と違い、完全な実力である。
とは言え、前日ギリギリまで俺と殺女の二人係で教えたんだけど。

「こっちが言っているのは、在留陰陽師の方だ」

やっぱり、そうだよなぁ・・・
逃れる手段、あるにはあるけどやるわけにはいかない。

「それに、名無しに任せられるものか」

そんなことを考えていたら、教頭がそんなことを言ってきた。
殺したいな・・・だけど、一旦我慢。

「俺も、名無しだが?」
「その分、ランキングがあるだろう。私は名無しの差別派ではあるが、力あるものを蔑むつもりはない」
「第三席も?」
「当然だ」

この人、こんなキャラなのか・・・
その辺りは印象いいけど、さっきの台詞はいただけない。

だから・・・

「俺を選んだのは誰の判断?」
「私の独断だ。一任されているからな」
「なら、やってやるよ。どうなっても知らねえぞ?」
「文章はここにある」

そう言いながら渡された紙を、空間に穴を開けて放り込む。

さて、確か卒業式は一週間後だったな・・・それまでに、準備しとかないと。

 
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