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万華鏡

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第七十七話 迫るバレンタインその九

「クラス分買ってもな」
「それでもね」
「安くつくよ」
「本当に生活の知恵ね」
「これだとね」
 安い、それならというのだ。
「かなり買えるっていうか」
「二十人分買ってもね」
「ああ、安く済んで」
「お買い得ね」
 こう話してだ、そしてだった。
 五人でチョコレート、それをまとめ買いした。そうしてだった。
 美優は買ってからもだ、こう仲間達に言ったのだった。
「じゃあ後はさ」
「後は?」
「後はっていうよ?」
「皆チョコ手作りで作ったことあるかい?」
 美優がここで問うたのはこのことについてだった。
「それは」
「いや、それは」
「ちょっとね」
「実はそうしたことは」
「まだだけれど」
「よし、じゃああたしがレシピ知ってるからさ」
 四人の言葉を受けてだ、美優は四人に笑ってこう言った。
「それ渡して、でいいよな」
「手作りのチョコのレシピ」
「それをなのね」
「もうノートに書いてあるんだよ」
 既に、というのだ。
「だからさ、後は」
「そのレシピを見て」
「それでなのね」
「自分達で作る」
「そうすればいいのね」
「ああ、そうしてくれるかい?」
 こう言うのだった。
「二十人クラスに男子いるだろ」
「だったら百人分」
「百人分のチョコを作るってなると」
「ちょっとね」
「一つのお部屋だとね」
 一つのキッチンでは、というのだ。
「ちょっと難しいから」
「だから私達それぞれでやるっていうのね」
「ああ、本当は五人全員で作りたかったけれどな」
 いつも通りだ、それが美優の考えていた今回のチョコレート作りのベストの形だった。しかしあまりにも量が多いからだ。
「百人分はな」
「幾らチョコレートですね」
「そんなに量が多くなくても」
「一人だとさ」
 それならだ。
「に十分分だろ、チョコ」
「お鍋に溶かして」
「後は型に入れる」
「百人分だと難しいけれど」
「二十人ずつならね」
「ああ、出来るよ」
 普通の家のキッチンでも、というのだ。
「だからそれでいいよな」
「ええ、じゃあね」
「私達それぞれで作って」
「それでそれぞれのクラスの男の子達にプレゼント」
「それがいいわね」
「そういうことでな」
 美優はこう四人に言った。
「いいよな」
「よし、じゃあバレンタイン前はね」
「気合入れて作りましょう」
「それとだけれどさ」
 ここまで話してだ、こうも言う美優だった。
「クラスの男子へのプレゼントもいいけれど」
「そうそう、お父さんにもね」
「お兄ちゃんにも」
「ちゃんとあげないとね」
 琴乃もだ、ここでこう言った。 
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