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ストライクウィッチーズ  扶桑海軍119航空隊

作者:stk
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最速の魔女

「こちら、105航空隊の根岸です。着陸許可をお願いします」

私は現在、ブリタニア周辺の巡回をしています。なぜ、私が巡回何てしているかと言いますと、昨日付けで501統合航空戦闘団の援助として配属されているのに、なにもしないでいるのは落ち着かなかったから自主的に行っているのである。

『着陸を許可します』

「ありがとうございます」

あれ~?なんか、滑走路を人が走っているのですけど。それに坂本少佐もいるよ。

「どいて~!」

着陸の邪魔だよ~。デも、なんとか着陸できたよ~。

「あの~、扶桑海軍の根岸大尉ですよね?」

「そうだけど、君は?」

胸は結構大きいね。なんか羨ましい。

「私は、リネット・ビショップと言います。根岸大尉、なぜ、降格なされたのですか?」

えっ?どう言うこと?降格?何を言っているの?降格なんかしていないけど。

「前は少佐だったのでは?」

ヤバい。この部隊に私の正体を知っておる人物がまだいたよ。隠すのは無理かな。

「お~い。足が止まっているぞ!」

「はいっ」
「はい」

ふぅ~。アシストがはいってよかった。あのままじゃ言ってしまっていたかもしれない。

『根岸大尉。至急司令室に戻ってください』

今度は颯か。今日はいつも以上に連絡が多いね。

「わかったよ。すぐにいくよ」




~移動中~




「あれ~、良いもの持ってるじゃん」

私はフライドポテトが盛られてあるお皿を片手に廊下を歩いていると後ろから声をかけられた。

「も~らい♪」

「あっ」

持っていかれちゃった。でもいいかな。




~再度、移動中~





「颯。なにかあったの?」

私が司令室につくと、颯はすでに待っていた。

「根岸少佐。扶桑皇国海軍指令部より伝令です」

ここにいるときはなるべく大尉と呼んでって、あれほど言ったのに。

「指令部から?」

私は恐る恐る無線に近づいていく。

「こちら、105航空隊根岸。指令部、応答願います」

『こちら、扶桑皇国海軍指令部。根岸少佐か、119としての任務だ』

119としての任務か。つまり、極秘の少人数任務なんだ。

『今回は、501の弱点を探して貰いたい。とくにカールスラントの三人については要注意で頼む』

「了解です」

501の弱点なんてあるのかな?私はないと思うけど。でも任務だと、やらないとダメなんだけどね。

「颯。119任務だよ」

「はぁ~」

「ため息つかないの。私だって本当はやりたくないんだから」

そのあと私は颯に、任務の内容を伝えた。颯はとてつもなくめんどくさそうな顔をしていた。
そして、この事はアフリカにいる茉耶にも伝わったのだが、同じ119の芽衣には伝わらなかったようで、事実、こちらに向かっているのは茉耶だけのようです。

「理恵、飛行訓練したい」

こんなときに!でも、こんなときだからこそ気分転換も必要かな。

「うん。いいよ。でも、飛行訓練だけだと面白くないから、模擬戦にしようか」

模擬戦と言うことばを聞くと、圭は少しだけ笑顔になっていた。

「それじゃあ、5分後に下に集合ね♪」

「はいっ!」

凄く嬉しそうなんだけど・・・

「理恵。任務はいつからなんだ?」

圭が退室したのを確認すると、颯が先ほどの話を始めた。

「今からだよ」

この答えを聞いた颯は何も言わずに退室した。

「今回の任務は大変だな~」

静まり返った部屋のなかで私は、一人で呟いていた。




~支度中~




私は、訓練を行うと言うことだったので、前使っていた軍服(せいふく)を着ていた。

「あれ~、少佐。髪の毛切ったの?」

「えっ?」

後ろから声をかけられたので、私は振り返ったが、そこにいたのは先ほど私からフライドポテトを持っていったカールスラント軍人だった。

「エーリカ・ハルトマン中尉?」

「そーだけど?」

こんなところで任務目標(ターゲット)にあうなんて。幸なのか不幸なのか分からないね。

「あちゃ~、少佐だけど、少佐じゃないか」

ギクッ。

「まあ、いっか。それと、ポテトありがとね~」

この部隊は以外と強敵かもしれない。私の正式な階級をを知っている人が多すぎる。

扶桑に帰りたいな~。




~移動中~




「理恵。遅い」

すでに滑走路には圭が首を長くして待っていた。
でも、私は圭のように元気ではありません。

「今日はこれを使う」

圭が手にしていたのは九十七式自動砲。対ネウロイ用に扶桑で開発された対戦車ライフルである。重量は約60kgと普通の歩兵が持つには分の悪い代物であるが、私たち(ウィッチ)には関係ない。

「それじゃあ、私は九十二式重機関銃(こいつ)にしようかな」

「理恵、それだと勝負にならない」

そうだろうね。装填時間のかかる九十七式自動砲と連射速度がはやい九十二式重機関銃だもん。

「まあ、いいじゃん。それでは離陸開始!」

私と圭は各々のストライカーユニットを履き、空に飛び立った。

私たちは100mほど上がるとそれ以上は行かず、違いにむきあった。

「ルールは10秒後ろをとることでどう?」

「いつもと一緒。問題ない」

「それと威嚇射撃は可とする。これでいい?」

「わかった」

私たちが使っている戦闘脚(ストライカーユニット)は零式艦上戦闘脚。性能差は私が改造した分だけ。

「それでは1分後より戦闘開始。それまでは慣らし飛行」

「うん」

いつものことだからわかっている圭はすぐさま飛んでいった。
 
『根岸少・・・大尉。聞こえるか』

この声は坂本少佐ですか。と言いますか、私の階級を知らない人なんていないのでは?

「はい。こちら、根岸です」

『すまんが、新人に戦い方を見せてやりたい。少し本気でやってもらえるか?』

なにそれ!かなりめんどくさいじゃん。正直に言うとやりたくない。

「拒否権は?」

『ない!!!』

やりたくな~い。

『やらないと正体を言ってしまうかもしれんぞ』

この部隊。本当に嫌だ。

「わかりました。やりますから、約束は守ってくださいよ」

なんか、貧乏くじを引かされた気がするよ。

「と言うわけだから圭、手加減できないよ」

『本気でやる』

あ~あ、本当にめんどくさいな~。

「それでは開始する」

私はひとまず、急上昇し、圭を飢えから探すことにした。本来ならば、(ネウロイ)のいる地点まで飛んで行くのだが、目標(ターゲット)の居場所が分からない以上は無闇に飛ぶよりも上から探すにこしたことはない。
それに、いつもの圭との模擬戦においての戦術(パターン)はおおよそ詠めている。それは、私とは違い、下方から狙ってくる。

ドォーン!

この下かな。でも、こんな簡単に見つかるのはおかしい。もしかしたら。私は誘導されているのかな?
と言うわけで、私も乱射することにした。
すると、雲の割れ目から圭の姿が見えた。圭の様子は、居場所がバレて逃げ回っているように見えた。
居場所がわかった私はひとまず、雲の中に隠れて、バレないように近づいて行った。



~その頃、地上では~



「坂本さん、根岸さんはどこにいるのですか?」

「そんなことも分からないのか。根岸はあそこだ」

坂本さんが指差したのは分厚い雲のなかだった。私には確認できないけど、坂本さんには普通に見えているようです。

「坂本さんと根岸さんは知り合いなんですか?」

「あぁ、あいつとは扶桑にいた頃、幾度も作戦会議で会ったものだ。そのころのあいつは私をも凌駕する魔女(ウィッチ)だった。」

「そ、そうなんですか!!!」

坂本さんより上。そんな人が此処にいるんだ。凄いな~。

「でもあいつは、根岸は仲間を失い心に穴が空いてしまった」

「えっ?」

仲間を失った?戦争で大切な友達を!

「それからあいつは換わった。真面目に戦うことをやめてしまった」

そんな。根岸さんの傷はもう癒せないのかな?


~上空~


「これで10秒」

「やっぱり、強いよ」

圭も着々と強くなってるけどね。

『こちら、坂本。根岸大尉、直陸せよ』

坂本少佐は私になんの恨みがあるの?私はただ、ただ単に、もう戦いたくない(・・・・・・)だけなのに。

「了解しました」

まさかなにか言われるの?私のこと?それとも上層部のこと?流石にバレるのは早すぎる気がするけど。
そう思いながらも私は着陸を行った。

「根岸理恵。戻りました」

「大崎圭。戻りました」 

圭も戻って来たんだ。

「大崎少尉。自室にて待機しているように」

「わかった」

圭は先に戻しておかないと。今から何を言われるのかわからないしね。


「単刀直入に聞く。今のお前は何が目的で此処にいる?」

「さ、坂本さん。何をいってるんですか?」

普通に考えれば、サポートしてくれた彼女の言う通りなんだけど、私を疑うのもわかる気がする。

「どうなんだ、根岸少佐(はやぶさ)

「はやぶさ?」

そのことも知っているんだ。

「第119航空隊。知っているよね」



~side芳佳~



「第119航空隊。知っているよね」

第119航空隊って、たしか前の欧州防衛戦で魔女(ウィッチ)を半分失って、隊長は戦意を喪失。部隊の再編成は無理って新聞に書いてあった。

「私は第119航空隊の隊長だった」

「119航空隊の隊長だったんですか!」

でも第119航空隊の隊長の階級は少佐だったと聞いたことがある。でも根岸さんの階級は大尉。

「私は仲間を、大切な友達をたくさん失った。もうこれ以上、失うのは嫌なの」

根岸さん。そんなに仲間のことを思っているんだ。

「根岸。お前の本心はそれだけなのか?」

「どういうことですか?」

「お前は仲間を失ったことで、他の仲間を売るようなやつになってしまったのか?」

「坂本さん。いくらなんでも言い過ぎなんじゃ」

仲間を売るなんて。そんなことしないでしょ。だって根岸さんは仲間を失う悲しみを知っているはずだもん。

「どこまで知っているのかは分からないけど深読みは禁物だよ、坂本少佐」

「えっ!」

今の根岸さん、なんかすごい顔してた。

「それでは任務がありますので失礼します」

「待て!話は終わってない!」

「これ以上、関わるなって言ったの、わからなかった?」

振り返った根岸さんの手の中には拳銃が握られています。銃口は坂本さんの頭を狙っていた。

「やめてください!」

こんなの間違ってる。挑発を始めた坂本さんも悪いけど、拳銃を取り出した根岸さんも悪い。

「仲間同士で争うなんて間違ってます」



~side.理恵~



「仲間同士で争うなんて間違ってます」

仲間同士でか、私にとっては仲間はもう119のみんなしか考えられない。

「今日は忠告だけで勘弁してあげる。それと、私に何か聞くときはそれ相当の物を持ってくることね」

私からただで情報を取ろうなんて。まあ、軍の上層部より出すことも不可能だろうし、なにより任務だから覆すことが出来ないこともあるけどね。
でも、今回の任務は改めて考えればおかしな話だよな。上層部は何をしようとしているのかな?

「成る程。では、私と勝負しろ」

「はあぁぁぁぁぁぁ」

一体、どんな解釈をしたらそうなるの?

「ルールは先程と同じでいい」

「自分が何を言っているのか分かっているの?」

「当たり前だ!」

坂本少佐は自身がいっていることの意味を理解しているのであろうか?模擬戦であろうと、実戦であろうと賭け事は禁止されている。それなのに坂本少佐は私に勝って、私を支配下におくつもりみたい。

「はぁ~。仕方がありませんね」

こればかりは退いてくれそうにない。これ以上長引かせても時間の無駄だし、仕方がない。

「坂本少佐。あとで105航空団指令室まで来てください。ある程度ですがお話ししましょう」

「やっとか。ああ、コイツらの訓練が終わってから行くとしよう」

ねぇ、私のやっていることはあってるのかな?今の私を見たら***はどんな顔をするのかな?




~side.坂本~




たしかに仲間を失うのは大きな話だが、あいつはそれだけではないはず。以前の欧州防衛戦で何があったのか、調べる必要がありそうだな。

「坂本さん。走り終わりました」

根岸、何かひっかかるのな。

「坂本さん。走り終わりました!」

「すまんな、宮藤」

「気にしないでください」

「それでは、次は腕立てだ!」

「「了解!」」

まあ、あとでわかることだ。今は待つとしよう。




~105航空団指令室~




「根岸さん。なにしてるんですか!」

「颯。静かに」

私は、機密ランクSの書類、データをすべて広げていた。

「根岸さん。これは軍法会議ものですよ!」

「わかっているよ」

「ならやめてください。あなたの任務は上層部のもの以外にもあるでしょ」

確かにやらなければならないこともある。でも、私は坂本さんに約束したから。

「根岸さん。入るわよ」

あれ、ミーナ中佐まで来るとは聞いて無いけど。

「開いてます」

扉が開き、入ってきたのはミーナ中佐、坂本少佐とバルクホルン大尉の3人。

「坂本少佐、これはどういうことですか?」

「それがだな、ミーナに「根岸が本当のことをしてくれるみたいだ」と言ったら、一緒に来てしまってな」

それではすまされないのですが。

「根岸少・・・大尉。これだけの人数はまずいと思います」

「颯。もういいよ、もう騙せないから」

もう無理だよ。私たちはやり過ぎた。その埋め合わせが今回来てしまったにだけのこと。遅かれバレることなのだから。

「わかりました」

「そろそろ、本題にはいってもらえるかしら」

「そうですね。それでは改めて私のことを教えましょう。私は現扶桑海軍機密航空団119航空隊隊長根岸理恵少佐です。それで、彼女が副官の里山颯大尉」

「少佐!階級まで教えなくても!」

「もう私の階級はほとんどの人が知っているみたいだから隠しても意味がないの」

機密航空団のことも言ってしまった以上、私たちは軍の上層部に逆らったも同然。なら、すべてを教えてしまった方が楽なのかもしれない。

「坂本さん。私のことをよく知っているようでしたね」

「それはだな、お前とは一度会っているのでな。そのときのことを覚えていただけだ」

そう言うことなんだ。でも、一度で私のことを覚えるなんて凄い記憶力ですね。

「私も知っているわよ。最速の魔女こと根岸理恵少佐。ネウロイの撃破数は320機で現役の魔女(ウィッチ)で最多らしいわね」

そんなことも知っているんだ。

「14歳ながら、部隊を任される扶桑の巫女なんだってな」

凄いことを知っているんだね。

「はぁ、私はなんのために正体を隠していたのやら」

「少佐!本音は禁物です」

「だってさ、ワタシのことはなんでも知っているし~」

「私から言わせてもらえれば、知らない方が不自然なのですが」

私を知らない方がおかしいってどういうこと?

「根岸少佐。これはどういうことだ!」

??

「119特務。カールスラント防衛戦において、陥落になりそうなときは早期撤退せよ」

あ~、そう言えばそんな指示もあったっけ。でも言い回しがめんどくさいよね。「陥落になりそうなとき」って言うのがとくにわかりづらい。

「お前たちはあの戦い、すぐに撤退したというのか!」

何をいってるんですか?私たちは何度も ネウロイに向かっていったというのに。

「のこのこ逃げたと言うのか!」

「そんなわけないでしょ!!!」

気が付くと、私は怒鳴っていた。

「あのとき私は、私たちは最後まで戦った。初めて上層部に逆らってまで!!!」

私は一呼吸をすると、バルクホルン大尉を見て、

「それで、私の妹は死んだのよ!!!」

「「「えっ!」」」

颯以外はかなり驚いている。それにしても、私がここまで感情的になったのはいつ以来かな?

「根岸少佐。すまなかった」

そして、この場の雰囲気が冷えてしまった。

「根岸少佐。あとは私から説明しておきます。少佐は自室で休んでください」

颯の気持ちは凄い嬉しかったけど、それはできなかった。

「私から話さないと行けないこともあるから戻れないよ」

そのあと、私は今までのことを簡単にではあるが説明した。それを聞いてなお、私たちを仲間として迎えてくれると言われた。そのときは素直に嬉しかった。でも私たちの事情はそんなに簡単ではない。私たちの心の穴を埋めるのまだ先の長くなる話だと思う。でも、私たちのことを思ってくれるだけで、少しだが癒された気がする。 
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