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東方変形葉

作者:月の部屋
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変化と不変の入り乱れ
  東方変形葉14話「れっつごー冥界」

 
前書き
魔理沙「霊夢~、茶をいただきに来たぜ。」
霊夢「うちの神社は給水所じゃないわよ。飲むならせめて面白い話の一つや二つでもしなさい。」
魔理沙「ああ、そういえば今朝、裕海の家に行ったんだが、今までで見たこともない珍しい食べ物があったぜ。」
霊夢「へえ、どんなの?」
魔理沙「なんか、李みたいだけど何か違う赤い果物だったぜ。」
霊夢「ふ~ん?あら、誰か来たわね。」
魔理沙「えっ!?こんな寂れた神社にげふう!!」
霊夢「ちょっと黙ってなさい。」
?「信仰心の集まらないダメな神社はここかしら?」
霊夢「いきなり失礼なやつね。何しに来たのよ。」
?「ここの神社を山の上の神に譲り渡してほしいのよ。」
霊夢「はあ?そんなのダメに決まってるでしょ?何考えてるのよ。」
?「ここの神社の手助けをしようと思ってるの。では、私はこれで。」
霊夢「余計なお世話よ!」
魔理沙「なんだあいつ?どうやら人間のようだが。」
霊夢「ええ、それにしても山の上の神って言ってたけど、誰かしら。まあなんにせよ、その神と話し合わなきゃいけないわ。」
魔理沙「山と言ったら、あの山ぐらいだな。」
霊夢「ええ。というわけで~」
裕海「あ、霊夢。魔理沙。」
霊夢「ついてきなさい、裕海!」
裕海「はえ!?なんの話!?」
 

 
一旦家に戻った。冥界に行く前に神社によったら、なにか命令された。「明日あるところに行くわよ!」と。あるところってどこ?そう思いながら、朝にまた紫が持ってきた李みたいな果物、クランベリーを使ってお菓子を作る。生だと酸っぱいんだよな。・・・紫は果物好きなのか、珍味好きなのかわからないな。
「よし、できた。クランベリークッキー。」
あとはこれを机に置いて冷ましておく。昨日スキマを開けない結界を張ったし、防犯用にトラップを仕掛けたからもう大丈夫。多分。じゃ、行ってくるか。



―冥界・白玉楼―
いつ来てもいい眺めだ。いわゆるあの世の世界ってこんな感じなんだな。あれ?なにか音楽が聞こえる。ああ、あっちからか。
「あっ人間だ!もっと盛り上がるわよ~!」
「いえ~い!」
「うわ~い!」
三人組の少女が演奏している。ジャンジャンと、音楽がもっと盛り上がる。しかしなんだろうか、この感情が揺さぶられる感じは。



演奏は30分続いた。
「わー!ありがと~!」
「ここまで聞いてくれる人間なんて初めてだよ~。」
「ありがと~!」
「ふふ、いい演奏だったよ。」
ただ、何か心に響かない感じがするが、そのことは黙っておこう。とりあえず、白玉楼へと向かう。



「あら裕海さん。こんにちは。何か用ですか?」
すごい長い階段をとんでいき、そしてしばらくして大きな建物が見え、そしてその建物の前で素振りをしている妖夢がいた。
「ああ、いや、ここにはそんなに来てないと思ってね。」
「まあそれでしたら、幽々子様の話し相手にでもなっていてください。もうすぐ御飯ですので。」
「あ、もうそんな時間なんだ。言っておくけど、ただ飯をむさぼりに来たわけじゃないからね。」
飯泥棒ではないことを一応伝えておく。
「ええ、わかってます。幽々子様がおられる部屋に案内します。」
ここの屋敷も広いな。さすがに一人暮らしだと、こんな大きな家を持ちたいとは思わないが。
「こちらです。」
「ああ、ありがとう。」
案内された部屋はいかにもという感じの和室だった。そして机の向こうに幽々子が座っていた。
「あらいらっしゃい、裕海。4日ぶりね。」
「ああ、そうだな。そういえば、いいものがあるんだが欲しいか?」
「いいもの?何かしら。」
「えい」
スキマを開き、ある果物を取り出した。
「・・・それは何かしら、その罰ゲームで使われていそうなとげとげの物体は。」
幽々子の行ったことは、的を得ている。たしかに罰ゲームで使うとよさそうだ。
「果物の王様、ドリアンだ!!」
「なんか臭うわよ?腐ってない?」
「大丈夫!!こういうやつだから。臭いからは感じられないほどうまいぞ!」
「あらまあ、裕海がそんなに言うのなら、間違いはないのね。」
「・・・ちなみに、これの送り主は紫だよ。あと15個ぐらいあるんだが、全部食べたいか?」
そのとき、幽々子の目が輝いた。
「ええ!!もちろん、くれるというのなら!!まあ味がまずまずだったらあなたの家にいたずら好きな幽霊を数匹送り込むから。あと紫にも。」
「げっ・・・まあいいや。あとでここに積んでおくよ。」
「あ、それはやめてほしいわ。いくら美味しくても、臭いがあれじゃあ妖夢に何言われるかわからないわ。」
だろうね。う~ん。
「なら、加工したやつを送り込むよ。」
「助かるわ。・・・ところで、そろそろその臭いを何とかしてほしいのだけど。」
「あ、ああ。“消滅の変化”」
「あら、臭いが消えたわね。さすが便利ね、あなたの能力は。」
便利すぎて裏があるんじゃないかと最近は思えてきたよ。実はとんでもない代償をはらっていたとか。
「幽々子様、裕海さん、ご飯ができました。」
「あら、ありがとう妖夢。」
「ああ、ありがとう。」
美味しそうで、豪華な料理が出てきた。・・・量、多すぎないか?
「そういえば、ついこの間幻想郷に誰かが入ってきたようです。」
妖夢が報告した。
「え?入ってきた?」
「そして、山の上に湖と神社を置いたようです。」
「ああ、あれね。あれはほっといていいわ。」
幽々子が答えた。
「え、なぜです?」
「それは後日、裕海が教えてくれるわよ。明日巫女と一緒に出掛けるらしいから。」
「えっ?なんで知ってるの?」
「き・み・つ!」
「国家絡み?」
何とかかわってるんですか幽々子さん。
「それよりも、早くご飯をいただいちゃいましょう。」
「はい。」
「ああ、そうだな。」
「「「いただきまーす」」」



「ふう、さて裕海。」
「ん?」
「運動するわよ。」
「というと?」
幽々子は3枚のカードを取り出した。
「スペルカード戦、俗にいう弾幕ごっこよ。妖夢、あなたは見学よ。」
「はい。」
「じゃあ、始めるわよ。準備はいいかしら?」
「ああ、いつでもどうぞ。」

亡郷「亡我郷 -自尽-」

最初のスペルカード。まるでうねうねの手が生えたかのように横に弾幕の川ができ、閉じたり開いたりしている。そこに4本の光線が飛んでくる。それならば。

「生生流転~死の境界~」

幽々子の周りに黒い弾幕を仕掛けていく。
「っ!?」
周りに気が付いたのか、さっと脱出する。しかし、怖いのはここからだ。色とりどりの弾幕が渦を巻いて幽々子に襲い掛かる。幽々子の光線はそこまで威力はないようだから、光線の勢いで吹き飛ばされることはない。少し体力を温存しながらよける。スペルカードとは別の弾幕を幽々子が撃ってきたが、そこまできつくはない。
「あらあら、なかなかやるじゃない。すこし本気を出しちゃうわね。」

華霊「バタフライディルージョン」

弾幕を展開した。それに加えて、なにか白い物体が近づいてくる。すると・・・
「っ!?なんだこれ!?」
白い物体は小さな花火・・・もとい弾幕の花を咲かし、また閉じた。そしてまたこっちに追ってくる。なるほど、なかなかおもしろいな。

神変「建御雷命のお怒り」

細かい光線で幽々子を包囲して、高密度弾幕を撃つ。しかし、あの白いやつは撃ち落とせないから鬱陶しい。気をつけないと喰らってしまう。
「やるわね。これで行けると思ったのだけど。仕方ないわ、ラストスペルよ!!」

「西行寺無余涅槃」

恐ろしいほどの弾幕が飛んでくる。それに加え、光線が光線を打ち消し、困った戦況になった。高密度弾幕といっても、光線が包囲しているからそう見えるだけ。つまり錯覚だ。よって、この弾幕は軽々とよけられる。なら、あれをやろう。

「イリュージョンフルーツ~千変万化~」

弾幕が展開される、そして弾は細い光線に変化し、ホーミング弾になって飛んでいく。どの弾が変化するかはわからない。俺の気分で作動するからね!!
「!!しまった、油断したわ。」
これはうっかりすると逃げられなくなる弾幕でもある。そしてそうなったらもう終わりだ。幽々子の機数がなくなる音が響いた。



「ゆだんしちゃった。てへ。」
可愛らしく言った。
「そんなかわいらしく言われても・・・」
「じゃあ俺はこの辺で。」
「ええ、さようなら。」
「またいらっしゃい。」



「ねえ、妖夢。」
私は戦闘中に思ったことを妖夢に打ち明ける。
「なんですか?」
「あの子、少しおかしいわ。」
「はあ・・・といいますと?」
「あの子には、地上に住むものなら必ずあるはずの“穢れ”がないのよ。なにひとつ、ね。」
「・・・!?ということは、あの人はもうとっくに死んでいるのですか?」
「いいえ、あの子は紛れもなく生きているわ。亡霊でなければ月人でもない。あの子はなぜ穢れがないのか、私にはわからないわ・・・」
紫ならわかるのかしら。



―博麗神社―
「あら、何か用?」
「ああ。明日“あるところ”へ行く詳細を教えてほしいんだけど。」
神社の境内で掃除をしていた霊夢に話をかけた。
「しかたないわね、面倒だけど教えてあげる。」

そのころ、裕海の家では。
「あの果物が気になったから家に忍び込んでやろう。お、あんなところにクッキーが置いてある。ふふふ。」
普通の魔法使い、魔理沙は謎の果物が気になって裕海の家に忍び込もうとした。しかし、思わぬ誤算があった。
「とう!!・・・あれ?」
見事窓から侵入成功!!・・・とおもいきや、そこはさっきまでいた場所だった。目の前に裕海の家がある。
「ちっあいつめ、大魔法使いがやるような仕掛けをかけやがって。あいつの能力は得体が知れないからどんな仕掛けかわかったもんじゃないな。仕方ない、本人に謎の果物のことを直接聞くか。」



「・・・なるほど、そういうことか。」
謎の人。妖怪の山。山の上の神。すべてを聞かせてもらった。
「ええ。それと、妖怪の山には社会的組織が備わっているらしいわ。恐らく見張りがいるでしょうね。そういうことだから、戦闘準備を整えなさい。あら、そういえばもうこんな時間ね。さ、明日に備えて家で休みなさい。」
「ああ、そうするよ。」
スキマを開き、その中へ入る。



「あ、ちょうどいいところにいたぜ。なあゆう・・・あっ!?スキマで帰りやがった!!」
裕海はもうスキマを閉じてしまっていた。
「タイミング悪いわね。そういえばあの子の家に行ってきたんじゃなかったの?」
「仕掛けがあってうかつに入れなかったぜ。まあいい、いつか絶対忍び込んでやる!!」
「根に持った泥棒ね。なんてたちの悪い。」
そこに、空間が裂けて紫が出てきた。
「ハロー」
「なんて微妙なタイミングなのかしら。」
「0点だな。0点満点中のな。」
「なによ、0点満点中の0点って・・・それよりも、霊夢。あなたに稽古をつけに来たわ。」
「はあ?何を言い出すかと思えば。で、何をするのよ。」
「神々の力を宿す稽古よ。」
何を言い出すのかと思えば。とんでもないことを教えようとしている。でも今日はもう寝なければならない。明日に備えて。
「明日ね、明日の夜にまた来てちょうだい。明日は忙しいの。」
「わかっているわ。だから今日来たの。ああ、それと。」
「?」
「・・・いえ、このことはきっとあの神に言われるからいいでしょう。じゃ、明日頑張りなさい。」
「??」



「ハロー」
紫が出てきた。それにしても・・・
「それもう飽きた。」
「あいさつに飽きたってなによ・・・」
「・・・あれ?スキマ対策結界を張っておいたのに。」
結構強く張ったはずなんだがなあ。
「私の能力をわすれたの?“変化と不変の境界”をいじったのよ。それでも開くのに少し疲れるのだけどね。それよりも、明日は最終段階の修行をするわ。場所は永遠亭ね。」
修行か。永遠亭なら昨日、修行に使っていいと言ってくれたから大丈夫だ。・・・え?明日?
「ん?明日?明日はちょっと。」
「ええ、知ってるわ。だから今日来たの。」
なぜ知っている?やっぱり裏があるのか、ただ霊夢や魔理沙に聞いただけなのか。
「で、やっぱり人の心の変化を操る修行?」
「ええ、でももう一つあるの。」
「?」
「それは明日の夜教えるわね。では、おやすみ。」
「あ、ああ。おやすみ・・・」
もう一つの修行ってなんだろうか・・・気になるな。まあ今日は寝るかな。



続く
 
 

 
後書き
14話かきおえました!次回は風神録の話です。お楽しみに。 
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