万華鏡
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第七十六話 節分ライブその十一
「入れてくれたの」
「うわ、有り難いわ」
「私も飲んだから」
持って来たこの娘というのだ。
「だからね」
「私達もなのね」
「そう、飲んでね」
是非にというのだ。
「あったまるわよ」
「じゃあね」
「有り難うございます」
五人は住職さんにお礼も言ってだ、そしてだった。
その甘酒を飲む、するとすぐにだった。
彩夏がだ、にこにことしてこう言った。
「あったまるわ、生姜も入っていてね」
「生姜いいわよね」
「ええ、甘酒に生姜はね」
それこそとだ、彩夏は持って来たその娘に言うのだった。
「最高よね」
「身体があったまってね」
「甘酒もあったまるけれど」
「生姜もだからね」
「余計にいいのよね」
「そうそう」
こう話すのだった、五人はその甘酒を自分達の演奏の後で楽しんだ。そして甘酒を飲んでいるうちにだった。
ライブは全て終わった、それで終わるとだった。
部長がだ、部員達に笑顔で言った。
「じゃあ後はね」
「はい、後はですね」
「後片付けですよね」
「ライブは楽器を片付けるまでよ」
それまでがライブだというのだ。
「だからいいわね」
「はい、それじゃあ」
「後は楽器を片付けて」
「それで解散よ。それとね」
「それと?」
「それとっていいますと」
「節分だからね」
まさにこの日だからだという言葉だった。
「お豆貰っていってね」
「あっ、そうですね」
「節分ですからね」
「それならですよね」
「それは忘れたらいけないですよね」
「そう、皆一袋ずつよ」
貰っていけというのだ。
「無料サービスよ」
「じゃあそのお豆を」
「部活の後で」
「一粒も残さず食べるのよ」
その袋に入っている豆をだというのだ。
「身体にいいからね」
「全部食べる」
「それもですか」
「部活よ、もっと言うと部長命令よ」
部長はこうまで言った。
「わかったわね」
「部長命令ですか」
「つまり絶対のことですね」
「食べものは粗末にしないことよ」
このことは絶対に、というのだ。
「粗末にしたらバチ当たるでしょ」
「はい、確かに」
「そうなりますよね」
「だからですね」
「お豆も」
「全部食べるのよ」
またこう言う部長だった。
「お酒のおつまみにでもしなさい」
「枝豆みたいにですか」
「そうしてですか」
「そうよ、お酒に合うからね」
「何か節分にお酒って」
「何でもお酒になってますね」
「お酒は常よ」
節分だろうが何だろうがだ、忘れてはならないものだというのだ。
「だからいいわね」
「はい、じゃあですね」
「お酒と一緒にですね」
「お豆を」
「楽しみなさい、私もそうするから」
「よし、じゃあね」
「寮に帰ったらね」
ここで寮生の宇野先輩と高見先輩が話した。
「お酒出してね」
「それで二人で飲もうね」
「潤ちゃん、今日は飲み明かすからね」
「わかってるわ、智ちゃん」
二人で笑顔で話してだ、そしてだった。
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