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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第7章:過去から未来への歴史
  第4話:前から後ろから、ワォ!

(エビルマウンテン)
シンSIDE

休息を終え進入したエビルマウンテン内には、更なる強敵が多数蔓延っており、俺等の行く手を遮ってくる。
でもリュカさんが言ってた(のをビアンカさんが言った)通り、攻めてくる方向が通路によって限定される為、四方八方を敵に囲まれる心配はなく、体力を温存しながらでも勝利する事が出来る。

「何とかいけそうですねデスピサロさん!」
俺は『ネクロバルサ』を葬った彼に向けて語りかける。
共通の敵(リュカさん)のお陰で、過去に因縁を持っていても気軽に話す事が出来る様になった。

「確かに……お前は勿論、ライアンやアリーナ達も頼りになるし、全体的にバランスのとれた良いパーティーだからな」
バトンタッチとばかりに前衛を交代し、俺等の後ろに下がるデスピサロさんは穏やかに語りかける。

エビルマウンテン内は通路が広いとは言え、それでも4.5人が同時に剣を振り回す事は出来ない。
だから前衛を【(シン)・ライアンさん・ウルフさん】と【デスピサロさん・アリーナさん・ドラン】の2組に分け、交互に戦い体力消費を抑えている。

これはウルフさんの提案で、準前衛であるトルネコさん・クリフトさん・リューラさんは、その後ろで隙を作らず構えている。
前衛交代時に敵が攻めてきた場合、この準前衛隊が前に出て敵の攻撃を防ぐのだ。

そして更に後ろに魔法メインの後衛が控えてる。
後衛は状況や敵属性に応じて魔法を使う部隊だ。
俺的にはマリーさんが張り切ってるってだけで、恐怖が募ってくるが……

この後衛の後ろに、非戦闘員であるシンシアやロザリーさんが存在する。
戦闘要員であるはずのリュカさんやラピスさんが居るのは、この非戦闘員隊だ。
それぞれ守るべき人の為に側に控えてるのだが、奴には前衛に出てきて欲しい!

「それにしても……リュカさんがもっと協力してくれれば、エビルプリーストを倒すのだって楽になるでしょうに。相変わらず非協力的ですよね」
交代間際に目に入ったリュカさんとビアンカさんの楽しそうな顔を思い出し、思わずデスピサロさんに愚痴を溢す。

「腹立つ事には同意するが、非協力的な事はないぞシン。戦闘してない時は奴の事を観察してみろ……ビアンカが言ってた通り俺達は不甲斐ないらしく、後方から襲ってくる敵は全てアイツが倒してる」
「え、マジっすか!? 全然そんな気配なかった……敵が後方から来てるなんて!?」

「当たり前だ……敵の気配を一早く察知し、俺達が感付く前に奴が瞬殺してしまうんだから」
参ったなぁ……
戦いやすい陣形を作る事で、リュカさんの力に頼らずとも世界を平和にする事が出来ると思ったのに……結局リュカさんの存在無くては、俺達は負けてたって事だ。

「今の陣形を崩し後方からの敵に備える形にしてたら、もう息が上がってただろうな。流石の俺も落ち込むよ……アイツは昨日から休み無く戦ってるって言うのに、俺達はもう音を上げそうなんだから」
ビアンカさんが怒るのも無理はない……こんなに俺達は情けないのに、文句だけは一人前にぶつけてるんだから。

シンSIDE END



(エビルマウンテン)
ウルフSIDE

リュカさんに言われた陣形を、俺発案と言う事にして皆に伝え実行させた。
『みんなが落ち込むから、僕は何もしてない事にしろ』って言われたけど、デスピーさんにはリュカさんが戦ってくれてる事を気付かれた。

案の定それを聞いたシン君と一緒に落ち込み中だ。
一瞬で敵を駆逐するとは言え、リュカさんだって疲れているのだろうから、気付かれないはずがない!
まだ他の連中には気付かれてないが、この二人が落ち込んだままだとパーティーの士気に影響する……どうしたもんか?

「何だぁ……シンとデスピーは、もうヘバったのかなぁ? 情けねーな、この程度で。僕なんか、一晩に4.5人の美女と大運動会したって、元気マンマンでみんなを大満足させられるんだゾ! 良いのかいシンシア・ロザリー……あんなフニャ○ン野郎が彼氏で? 僕に乗り換えるのなら、今がチャンスだよ(笑) 僕の暴れん坊将軍は何時でも歓迎準備万端だよ(大笑)」

「ふざけんな、誰がフ○ャチンか!?」
「そうだ馬鹿! シンシアに手を出したら殺してやるからな!」
「何を言ってるんだい君達は? 僕は他人(ひと)の女に手を出さないんだよ。彼女達の方から言い寄ってきたら別だけどね……『彼には内緒で桃源郷まで連れてって♥』って言われれば断らないけどね(大笑)」

「テメー……ロザリーがキサマを相手にするわけないだろ!」
「どうかなぁ? 僕の方が体力もあるし、イケメンだし、優しいし、面白いし、なにより歌が巧い! 一発やっちゃったら、もう離れられなくなるぜ(笑)」
煽るリュカさんを凄い目付きで睨む二人……簡単だなコイツ等。

「おいお前等……戦闘に集中しろよ。こんな事してると、リュカさんに美味しいとこを持って行かれるぞ! それこそ女の注目を集める切り札(テクニック)なんだから……」
リュカさんの意地悪な言葉に、激怒した二人……どうやら意欲だけは取り戻した様子だ。

前方の敵に集中した二人を横目に、俺は後ろへ振り向き頭を下げ無言で礼を告げる。
頭を上げリュカさんの顔を見ると、何時もの優しい笑顔で手を振ってくれた。
やっぱ格好いいなぁ……あんな男になりてー!

ウルフSIDE END



(エビルマウンテン)
マーニャSIDE

やばい……やっぱりリュカは格好いい!
ズルイ……何で既に結婚してんの!?
目がハートマークのミネアを見つつも、同じ状態になってしまう自分が情けない。

そう言えば、魔界に来てからリュカは歌ってない……
彼なりにではあるが、状況を考えて歌ってたんだと思う。
あの歌のお陰で敵が集まり、それと戦う事によって私達は鍛えられたんだから、リュカは本当に凄いと思うわ。

万が一私達が危険になっても、リュカが助けてくれるのだし、大変だけど命の危険なしに効率的な鍛錬を行えるのだ。
今更ながら何であんなに文句を言ってたのか……恥ずかしくなるわ。でも、主に文句を言ってたのはシンだし、私は……ねぇ……

自分の女の前で恥をかかされてるシンやデスピーには、リュカの格好良さが理解できないだろうけど、ウルフが心酔している気持ちが解るわね。
ウルフが懸命にあの男を目指す理由も頷ける。

目の前に困難が立ち塞がっても、一方的な強さで解決してくれるのではなく、その困難に立ち向かう勇気と切っ掛け……そしてその方法のヒントをくれる存在。
困難を打ち破った後には、やり遂げた達成感と自信が付くのだ。

もしリュカが自分で困難を打ち破り、その先の安楽な人生だけを示したとしても、今後世界が平和であり続ける根拠が何も無い限り、小さいながらも不安を抱えながら生きてゆく事になる。
だからこそリュカの様に、自らを憎まれ役に仕立てても試練を与えてくれる存在が貴重なのだ。

全てが終わったら、こっそりリュカと逢えないだろうか?
ビアンカさんやミネアに知られない様に、こっそりと逢い引きできないだろうか?
イケナイというのは解っているが、このまま別れるには忍びないわ……

あぁ……恋って結構苦しいのね。

マーニャSIDE END



 
 

 
後書き
サブタイトルを見てエッチな事を想像した奴!
廊下に立ってろ! 
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