| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~

作者:村雲恭夜
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

悪魔降臨

「それにしても君達、いつも同じ格好だねぇ」
不意にアスナが言った。
「い、良いんだよ。服にかける金があったら、少しでも良い物をだなぁ…」
「俺は別に。着れれば何でも良いしな」
と、言ったのと同時に索敵を行った。すると、プレイヤーの反応があり、立ち止まる。
「どうしたの?」
「アスナ、コレ…」
と、ミザールが自分のマップを見せる。
「ここまで多いの、異常。一回やり過ごすべき」
12個のプレイヤーを示す光を見て、ミザールが案を出す。
「だな。並び方も異常だし、一回隠れよう」
俺はミザールの案に乗るが、
「あ…」
アスナの格好を見る。明らかに目立つ。
「キリト、アスナを頼むぞ」
「了解」
と、アスナを自分のレザーコートで包み込んだ。それを見て、俺も装備を変更し、黒を基調としたナルガ装備に換え、身を隠す。と同時に俺たちの目の前に《軍》が姿を現す。前衛片手剣六人に後衛斧槍持ちが六人…か。おそらくボス狙いだろう。
「…どうやら噂は本当らしいな」
連中が消えた後、俺は茂みから出て言う。
「噂?」
「アルゴの情報だ。軍が方針変更して上層に出てくるらしいとな。元々、あそこもクリア目的だからな。アスナ、あいつら25層の時大きな被害が出でてなかったっけ?」
「うん。それからクリアより組織強化って感じになったみたいよ?」
「そっか…今回のはそれが原因で出てきた感じだったな。まぁ、それは良いとして、俺達も先へ急ごう」
「そうだな、中でかち合わなきゃ良いけど」
キリトがそういって、歩き始めた。











「セイハァァァァァァァッ!!」
俺は今、絶賛戦闘中です。単独です。相手は《デモニッシュサーバント》です。そのデモニッシュサーバントを俺はヴォーパルブレイクで突き破り続けてます。でも、《黒の剣士》や《閃光》、《戦姫》は助けてくれないです。確かに任せろとは言ったが、一人で屠るのは疲れ…あ、レベル上がったし。






結局の所、四回とも俺が戦って、ポーションを飲む羽目になりました。まぁ、レベ上がったし、これはこれで些細な問題だ。で、今の問題はと言うと…ボス部屋を開けるか否か、である。
「…デカいな」
「…これって、やっぱり…」
「多分そうだろうな…ボスの部屋だ」
「どうする…の?」
「…ボスは守護する部屋から絶対に出ないだろうし、ドアを開けるだけなら平気じゃね?」
「呑気だな…まぁ一応転移アイテムを用意しといてくれ」
「ん…」
「うん」
「んじゃ、行くぞ」俺がドアを蹴ると、かなりのスピードで扉が開いた。内部は完全な暗闇であり、いくつか記憶がフラッシュバックしたが冷静を装う。
「…ライト、汗凄いぞ?」
訂正、装っていてもやはり無理だ。だが、次の瞬間、二つの炎が灯り、そこから一つ、また一つと炎が部屋の中央まで真っ直ぐに灯り、最後に大きな火柱が吹き上がる。
それを見ると、アスナとミザールがそれぞれ俺達の右腕にしがみ付いて来た。が、それに構う余裕は無い。何故なら、火柱の後ろから、巨大な姿が出現しつつあったからだ。
体色は青く、筋肉モリモリマッチョマンボディ。そして、山羊の頭。見間違いなく、あれは悪魔だった。俺は内心ビビリながら視線を凝らし、出てきた文字を読む。《The Gieameyes》_________グリームアイズ。それが奴の名前だった。そこまで読んだ時、右手の大剣を翳して、こちらに向かって地響きを立てて猛烈なスピードで走り寄って来た。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「うそだろぉぉぉぉ!!」
「全力、疾走っ!!」
俺達は、同時に悲鳴(一人悲鳴ではないが)を上げ、くるりと向き直ると、全力でその場からダッシュした。
ボスモンスターが部屋から出ないとは言え、恐怖の余り逃げ出すのは人間の本能であり、決して間違いではない。鍛えに鍛えた敏捷値パラメータに物を言わせ、俺達は長い回廊を疾風の如く駆け抜けた。…転移アイテムを使わなかったのは触れないで頂こう。









「死…死ぬ…マジ死ぬ…」
「ハァ…ハァ…こんなに走ったの…久し…ぶり…」
「やー、逃げた逃げた」
「だな…」
ここは安全エリア。俺達は一心不乱に駆け、このエリアに飛び込んだ。…正直、あれは恐ろしいとしか言い表せまい。
「こんなに一生懸命に走ったのすっごい久しぶりだよ。まぁ、私よりキリト君の方が凄かったけどね」
「…俺よりライト達の方が」
「それは…認めるが…流石に…死ぬ…」
「途中で…モンス屠ったの…誰だし…」
そんな俺達を見て、キリト達は笑っていたが、やがて真剣な顔になり、
「…あれは苦労しそうだね」
「そうだな。パッと見、武装は大型剣一つだけど特殊攻撃アリだろうな」
「物理攻撃力が高いだろうな…。それに特殊はこっちの動きを止める系だろう。今までの経験で言えば、人型は…」
「死角からの攻撃に弱い。前衛に堅い人集めてスイッチが得策」
俺の言葉をミザールが横取りする。泣くぞ俺。
「楯装備の奴が十人欲しいな…。まぁ当面は少しずつちょっかい出して傾向と対策って奴を練るしか無さそうだ」
あ、馬鹿。盾って言ったら…
「盾装備、ねぇ」
やっぱりねー。危惧してた事が起こりましたー。
「な、なんだよ」
「君達、何か隠してるでしょ」
「いきなり何を…」
「だっておかしいもの。普通、片手剣の最大のメリットって盾持てる事じゃない?でも、二人が盾持ってる所見たことない。私の場合は細剣のスピードが落ちるからだし、ミーちゃんはスタイル優先で持たないけど、君達はそのどちらでもないよね…あやしいなぁ」
俺達は冷や汗を掻いた。確かに俺達が盾を持たないのはあるスキルを使用するが為である。お互い、それを見せたのはお互いだけであり、誰にも見せてはいない。つまり、どちらかが喋れば、必然的にもう片方も喋ることになる。
「アスナ、スキル詮索はマナー違反だ。そこまでにしてくれ」
「ふうーん・・・まぁ、良いわ。ライト君の言う通りだしね」
何とか、スキル暴露は回避できた。
「わ、もう三時だ。遅くなっちゃったけど、お昼にしましょうか」
「何っ。て、手作りですか」
キリト、お前ダマレ。
「ライト、私も作って来た」
ミザールがそう言うと、キリトがこちらを見て笑った。
「…キリト、こっち来い。殺したるから」
「わー!!悪かったって!!」
キリトが謝ると同時に、俺はミザールが作った弁当を食べ始めていた。うん、これマジ美味いわ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧